116D35

38歳の女性。咳嗽を主訴に来院した。3週間前から乾性咳嗽が出現するようになり改善しない。夜間には落ち着いているが日中仕事中に咳が出る。これまで喘息を指摘されたことはない。18歳から花粉症を認めている。1年前から製パン工房でパートとして平日週5日働いている。週末、家にいるときには日中も症状がないが、月曜日に職場に行くと咳が出る。喫煙歴はない。ペットは飼育していない。体温35.2℃。呼吸数16/分。SpO2 96%(room air)。呼吸音に異常を認めない。血液所見:赤血球360万、Hb 11.4g/dL、白血球5,700(分葉核好中球56%、好酸球12%、好塩基球0%、リンパ球32%)、血小板32万。CRP 0.2mg/dL。胸部エックス線写真に異常を認めない。

診断に有用な検査として誤っているのはどれか。

肺拡散能検査
気道過敏性試験
特異的IgE抗体
気道可逆性試験
ピークフロー日内変動

解答: a

116D35の解説

【プロセス】
①3週間前から乾性咳嗽
②家にいるときには落ち着いているが製パン工房で仕事中に咳が出る
③これまで喘息を指摘されたことはない
④18歳から花粉症
⑤好酸球12%
☞③とのことだが、④⑤からはI型アレルギーの背景が推定され、やはり①などの症状からは気管支喘息が疑われる。②より職業性喘息が考えやすい。職業性喘息はパン製造業のほか、麺製造業、看護師、動物取扱業、溶接業、塗装業、食品加工業などで有病率が高い。

【選択肢考察】
a 誤り。喘息では閉塞性障害をみる。拡散能は正常である。
b 気道の過敏性を確認する喘息の検査である。
c I型アレルギーの原因物質を特定するための検査である。
d 気管支喘息の特徴である、気道の可逆性を確認する試験である。
e 気管支喘息の症状の日内変動を確認する検査である。

正答率:75%

テーマ:職業性喘息の診断に有用な検査

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