116D32

30歳の男性。咳嗽と労作時の呼吸困難を主訴に来院した。14日前から咳嗽が出現し徐々に増強してきた。労作時の呼吸困難を伴うようになってきたため受診した。7年前から東南アジアへの頻回の海外渡航歴がある。体温36.5℃。脈拍80/分、整。血圧118/78mmHg。呼吸数24/分。SpO2 91%(room air)。両側中下肺野にfine cracklesを聴取する。血液所見:赤血球414万、Hb 12.7g/dL、Ht 25%、白血球13,700(好中球92%、単球3%、リンパ球5%)、血小板37万。免疫血清学所見:CRP 0.4mg/dL、β-D-グルカン185pg/mL(基準10以下)。胸部エックス線写真(A)、肺野条件の胸部CT(B)および気管支肺胞洗浄液Grocott染色(C)を別に示す。

適切な治療はどれか。

ST合剤の経口投与
メロペネムの点滴静注
ボリコナゾールの点滴静注
レボフロキサシンの点滴静注
アモキシシリン・クラブラン酸の経口投与

解答: a

116D32の解説

【プロセス】
①咳嗽と労作時の呼吸困難
②東南アジアへの頻回の海外渡航歴
③両側中下肺野にfine crackles
④β-D-グルカン高値
⑤胸部エックス線写真にて両側中〜下肺野のスリガラス影
⑥気管支肺胞洗浄液Grocott染色にて黒く染まるcyst
☞④より真菌感染を疑うが、⑥よりニューモシスチス感染と考えられる。①③⑤はニューモシスチス肺炎によるもので、②はAIDS感染に言及していると思われる。

【選択肢考察】
a 正しい。ニューモシスチス肺炎に対する第一選択薬である。
b カルバペネム系抗菌薬。ニューモシスチス肺炎には無効。
c 抗真菌薬であるが、ニューモシスチス肺炎には無効。
d ニューキノロン系の抗菌薬。ニューモシスチス肺炎には無効。
e アモキシシリンはペニシリン系抗菌薬、クラブラン酸はβ-ラクタマーゼ阻害薬である。ニューモシスチス肺炎には無効。

正答率:87%

テーマ:ニューモシスチス肺炎の治療

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