116D30

62歳の女性。発熱と咳嗽を主訴に来院した。2か月前から微熱と咳嗽の増加を自覚していたが次第に悪化し、体重も2か月で5kg減少した。10年前に健診で糖尿病の可能性を指摘されたが、その後医療機関を受診していないという。意識は清明。身長156cm、体重40kg。体温37.3℃。脈拍84/分、整。血圧124/82mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(room air)。心音に異常を認めない。呼吸音は両側でcoarse cracklesを聴取する。来院時の胸部エックス線写真(A)と胸部造影CT(B)を別に示す。

来院時の外来診察で最も重要な感染予防策はどれか。

陰圧個室での診察
聴診器の単回使用
撥水性ガウンの着用
サージカルマスクの着用
麻疹ワクチン接種済の職員による診察

解答: a

116D30の解説

【プロセス】
①2か月前から微熱と咳嗽の増加、体重減少
②10年前に健診で糖尿病の可能性
③呼吸音は両側でcoarse crackles
④胸部エックス線写真では両側上肺野に結節影と浸潤影
⑤胸部造影CTでは散布する陰影と空洞形成
☞②より易感染性の背景が考えられる。①の数か月続く症状、③〜⑤より肺結核が疑わしい。

【選択肢考察】
a 正しい。結核は空気感染するため、陰圧個室での診察が望ましい。
b 接触感染の予防策。
c 接触感染の予防策。
d 例によって主語が分かりにくいが、「外来診察で」という設問設定上、主語は医師であろう。結核患者の診察時にはN95マスクを着用する。主語を「患者が」と考えてしまった者も多かったのだろう。約10%の者が本選択肢を選んでしまった。
e 麻疹も空気感染する病原体ではあるが、本患者で最も疑われるのは結核である。関係ない。

正答率:88%

テーマ:結核に対する感染予防策

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし