116D24

68歳の男性。背部痛を主訴に来院した。3か月前に肝転移を伴う膵尾部癌と診断されたが、治療の希望がなく通院していなかった。1か月前から背部痛が出現し、2週間前から徐々に増悪するため受診した。背部痛は鈍痛で終日持続し眠れないこともあった。そのため1日の大半を家で横になって生活し、粥食を少量ずつ食べているが、体重は1か月で2kg減少した。既往歴に特記すべきことはない。喫煙歴はない。飲酒は日本酒1合/日を40年間。一人暮らしである。身長168cm、体重48kg。脈拍72/分、整。血圧126/60mmHg。呼吸数14/分。上腹部正中に径10cmの辺縁不整な腫瘤を触知する。腸雑音は減弱している。血液所見:赤血球334万、Hb 10.8g/dL、Ht 31%、白血球9,800、血小板14万。血液生化学所見:総蛋白5.6g/dL、アルブミン2.8g/dL、総ビリルビン2.4mg/dL、AST 134U/L、ALT 140U/L、γ-GT 124U/L(基準8~50)、尿素窒素19mg/dL、クレアチニン0.4mg/dL、CEA 16.4ng/mL(基準5以下)、CA19-9 580U/mL(基準37以下)。本人はなるべく自宅で生活したいと希望している。

今後の鎮痛薬による疼痛管理で適切なのはどれか。

貼付薬は使用できない。
疼痛時にのみ投与する。
注射薬から投与を開始する。
鎮痛状況により投与量の調節を行う。
レスキューは長時間作用性の薬剤を用いる。

解答: d

116D24の解説

【プロセス】
①68歳の男性
②肝転移を伴う膵尾部癌と診断(治療の希望なし)
③背部痛で終日眠れないことも・1日の大半を家で横になって生活・少量ずつ食べているが体重は1か月で2kg減
④本人はなるべく自宅で生活したいと希望
☞癌の終末期である。主訴が背部痛であるので、患者の希望(④)に沿う形でこれを緩和することが優先事項となる。

【選択肢考察】
a オピオイドの貼付薬が使用可能。
b 時間を決め、規則正しく投与するのが原則。
c 経口投与から開始する(③より可能そうだ)。
d 正しい。痛みの強さに応じ、投与量を調節する。
e レスキューは短時間作用性の薬剤を用いる。

正答率:99%

テーマ:終末期医療における鎮痛薬による疼痛管理について

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし