116D19

75歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。5年前から慢性的な咳と痰を自覚していたがそのままにしていた。1年前から階段昇降や軽労作で息切れを自覚するようになった。1週間前から発熱と咽喉頭痛を認め、咳と痰の増加とともに呼吸困難が増強したため受診した。既往歴に特記すべきことはない。喫煙は30本/日を45年間。来院時、意識は清明であるが、黄色痰および激しい咳が続いている。口すぼめ呼吸を認める。身長165cm、体重50kg。体温37.4℃。脈拍84/分、整。呼吸数21/分。SpO2 87%(room air)。呼吸音に異常を認めない。

この患者の初期治療として誤っているのはどれか。

酸素療法
抗菌薬の投与
中枢性鎮咳薬の投与
副腎皮質ステロイドの投与
短時間作用型β2刺激薬の吸入

解答: c

116D19の解説

【プロセス】
①高齢男性
②5年前から慢性的な咳と痰
③1週間前から発熱と咽喉頭痛、咳と痰の増加、呼吸困難
④喫煙は30本/日を45年間
⑤口すぼめ呼吸
⑥身長165cm、体重50kg(→BMI 18.4)
☞ヘビースモーカーの痩せ型の高齢男性(①④⑥)に②⑤がみられており、慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉を思い浮かべる。③より急性増悪が考えやすい。

【選択肢考察】
a SpO2 87%(room air)と低下しており、酸素投与は必須である。
b COPD急性増悪の原因として細菌感染が考えやすい。これに対し、抗菌薬を投与する。
c 誤り。主訴は呼吸困難であり、咳嗽を対症療法的に止めても根本的な解決とはならない。また、咳嗽を止めてしまうことで膿性痰の排出ができず、無気肺や肺炎を惹起する恐れもある。
d COPD急性増悪時の治療薬として代表的。
e 気管支拡張薬としてCOPD急性増悪時の投与が推奨されている。

正答率:77%

テーマ:COPD急性増悪の初期治療

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし