116C66

次の文を読み、以下の問いに答えよ。

73歳の男性。ふらつきを主訴に来院した。
現病歴:3日前に重い荷物を持ち上げた時に腰痛が出現し、自宅近くの診療所でNSAIDの処方を受けた。早期の症状改善を期待して毎食後に服用していたが、昨日から心窩部痛を自覚し十分に食事や水分がとれなかったという。本日朝からふらつきが出現したため家族に連れられて受診した。
既往歴:高血圧症、糖尿病、脂質異常症および不眠症に対し、アンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬、スルホニル尿素薬、スタチンおよびベンゾジアゼピン系睡眠薬を内服している。
生活歴:妻と2人暮らし。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴:両親が高血圧症であった。
現 症:意識レベルはJCS I-1。脈拍48/分、不整。血圧86/50mmHg。呼吸数20/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜に異常を認めない。心音と呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。皮膚は乾燥している。
検査所見:血液所見:赤血球405万、Hb 13.4g/dL、Ht 36%、白血球6,600、血小板22万。血液生化学所見:総蛋白7.3g/dL、アルブミン4.2g/dL、総ビリルビン0.7mg/dL、AST 25U/L、ALT 20U/L、LD 225U/L(基準120~245)、ALP 100U/L(基準38~113)、尿素窒素35mg/dL、クレアチニン2.4mg/dL、尿酸8.1mg/dL、血糖120mg/dL、Na 138mEq/L、K 7.6mEq/L、Cl 108mEq/L。CRP 0.1mg/dL。

直ちに行うべき検査はどれか。

頭部CT
尿中薬物検査
12誘導心電図
心エコー検査
胸部エックス線検査

解答: c

116C66の解説

【プロセス】
①高齢男性のふらつき
②自宅近くの診療所でNSAIDの処方
③高血圧症に対しアンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬を内服
④K 7.6mEq/L
☞④はパニック値である。②③は高カリウム血症の原因として知られており、これにより①がみられていると考えられる。

【選択肢考察】
a 「転倒して頭を打った」といった情報がある際に考慮される。現状、意識レベルはJCS I-1であり、頭蓋内の病変は考えにくい。
b 中毒症状をきたしている薬物の同定には適しているが、いま高カリウム血症が最大の焦点となっているため、これに対する特化した検査が求められる。
c 正しい。高カリウム血症にてテント状T波など特徴的な波形が出現する。
d 心不全の評価などに有効。
e 入院になる可能性が高く、ルーチンとして行う可能性が高い。が、高カリウム血症自体の検査ではなく、少なくとも「直ちに行うべき検査」ではない。

正答率:98%

テーマ:【長文1/3】高カリウム血症に直ちに行うべき検査

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