116C52

第1子(3歳男児)が臨床的にDuchenne型筋ジストロフィーと診断されている両親が遺伝カウンセリングを受けるために来院した。第1子はこれまで遺伝子検査を受けたことがない。他にDuchenne型筋ジストロフィーと診断されている家族はいない。

正しいのはどれか。

母親は本疾患の確定保因者である。
本疾患に突然変異による発症はない。
女性が本疾患の症状を示すことはない。
本疾患の遺伝子検査の感度は100%である。
第1子の遺伝子検査が陰性でも診断は変わらない。

解答: e

116C52の解説

【プロセス】
①第1子が臨床的にDuchenne型筋ジストロフィー
☞遺伝カウンセリングについての問題。Duchenne型筋ジストロフィーはX染色体劣性遺伝〈XR〉をする疾患であるも、突然変異による孤発例もあることに留意したい。

【選択肢考察】
a 上述の通り、遺伝によらないケースも存在する。そのため「確定」とは言い切れない。
b 上述の通り、突然変異による発症がある。たとえ突然変異によるDuchenne型筋ジストロフィーの存在を試験当日まで知らなかった者でも、この選択肢から逆に気づけたか?
c Lyon現象などの例外により、女性がDuchenne型筋ジストロフィーを発症することもありうる。
d 一口に「遺伝子検査」といっても様々あるため、明確に何%なのか断言することは困難。保険適用の検査では感度約70%とされる。ただ常識的に考えて("ほぼ"100%ならまだしも)感度100%の検査というのは考えにくく、選択には躊躇するところだ(筆者であれば選ばない)。
e 正しい。Duchenne型筋ジストロフィーの診断基準に遺伝子検査は必須とされていない。そもそも遺伝子検査の精度が100%でない以上、必ず偽陰性は存在する。よって陰性でも否定できないことが考えることで導けるだろう。こうした見方を変えるだけでeasyな問題なはずが、正答率は約30%。いかに多くの受験生が一本道な解き方しかしていないか、が浮き彫りとなる結果である。

正答率:31%

テーマ:遺伝カウンセリングにおける判断

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