116C43

52歳の女性。血便を主訴に来院した。3か月前に便に血液が付着していることに気付いたが、自然軽快したため受診していなかった。1週間前から再び便に血液が付着するのに気付き受診した。腹痛はなく排便回数は1回/日である。身長162cm、体重58kg。体温36.7℃。脈拍72/分、整。血圧116/72mmHg。呼吸数14/分。SpO2 99%(room air)。眼瞼結膜に軽度貧血を認める。腹部は平坦、軟で、腫瘤を触知しない。腸雑音に異常を認めない。直腸指診で異常を認めない。血液所見:赤血球308万、Hb 8.9g/dL、Ht 28%、白血球6,800、血小板21万。血液生化学所見:総蛋白6.0g/dL、アルブミン3.2g/dL、総ビリルビン0.6mg/dL、AST 12U/L、ALT 20U/L、LD 277U/L(基準120~245)、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL。CRP 0.7mg/dL。下部消化管内視鏡のS状結腸像を別に示す。生検組織の病理診断で高分化腺癌が確認された。

次に行うべきなのはどれか。

便培養
腹部MRI
FDG-PET
胸腹部造影CT
腹部血管造影検査

解答: d

116C43の解説

【プロセス】
①中年女性の血便
②眼瞼結膜に軽度貧血(Hb 8.9g/dL)
③下部消化管内視鏡にてS状結腸に半周性の潰瘍限局型(2型)の病変
④生検組織の病理診断で高分化腺癌
☞③④よりS状結腸癌の診断。①と失血に伴う②も矛盾しない。

【選択肢考察】
a 感染性腸炎による下痢がある場合などに有効。
b より詳細な観察が可能であるが、本問では「次に」と問われているため、ステップ的にはCTが適任だろう。
c 全身の転移巣検索に有効だが、本問では「次に」と問われているため、ステップ的にはCTが適任だろう。
d 正しい。胸腹部造影CTにて広がりを確認。TNM分類により病期を決定する。
e 肝転移の存在により強いて血管を観察したい、といったケースを除き不要である。

正答率:84%

テーマ:S状結腸癌の検査

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