116C41

84歳の女性。頭痛を主訴に来院した。今朝自宅内の段差で転倒し頭部を打撲し、頭痛を生じたため息子に付き添われて受診した。最近は歩行が小刻みになり自宅内でも転倒が多いという。息子とは同居しているが日中は仕事で不在である。自宅近くの診療所を不定期に受診しているが詳細は不明で、薬が自宅に多く残されているという。身長152cm、体重46kg。頭部以外に疼痛の訴えはない。歩行は小刻みで、両側上肢に筋強剛を認める。振戦はない。血液所見:赤血球421万、Hb 12.0g/dL、Ht 39%、白血球7,600、血小板28万。血液生化学所見:総蛋白6.0g/dL、アルブミン3.4g/dL、尿素窒素25mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、血糖150mg/dL、HbA1c 6.9%(基準4.6~6.2)、Na 143mEq/L、K 4.3mEq/L、Cl 108mEq/L。頭部単純CTで頭蓋内出血を認めない。

この患者への対応で適切でないのはどれか。

認知機能の確認を行う。
内服薬の内容を確認する。
摂取エネルギー量の制限を指導する。
在宅支援のために訪問看護の介入を依頼する。
頭部外傷後の遅発性合併症について説明を行う。

解答: c

116C41の解説

【プロセス】
①高齢女性
②今朝自宅内の段差で転倒し頭部を打撲し、頭痛
③歩行は小刻みで、両側上肢に筋強剛
④息子とは同居しているが日中は仕事で不在
⑤薬が自宅に多く残されている
⑥血糖150mg/dL、HbA1c 6.9%
⑦頭部単純CTで頭蓋内出血を認めない
☞高齢者の転倒(①②)。⑦より一安心ではあるも、遅発性の合併症(慢性硬膜下血腫など)もありうるため油断してはならない。③からはParkinsonismを呈する神経内科疾患の存在が考えられる。⑥より糖尿病の診断。⑤の薬は経口血糖降下薬であろうか。いずれにせよ④よりこの患者へのサポート体制は不十分と考えられるため、何かしらの対策を講ずる必要がある。

【選択肢考察】
a 認知機能低下により転倒しやすくなったり、自身での服薬管理が困難となる。認知機能の確認を行ってみるべきだろう。
b 詳細は不明、とのことで、どのような薬を飲んでいるのかの確認はしてみるべきだ。もしかしたら、睡眠薬や降圧薬など易転倒性となるものが処方されているかもしれない。
c 誤り。身長152cm、体重46kg(→BMI 19.9)と肥満はないため、エネルギー制限の必要はない。
d ④より、訪問介護の介入が必要と考えられる。
e 上述の通り。

正答率:97%

テーマ:易転倒性の高齢者への対応

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