116C40

21歳の女性。顔面の皮疹とふらつきを主訴に来院した。1か月前、海水浴に行った後から、微熱、顔面の皮疹、手指関節痛、ふらつきが出現し、改善がないため受診した。体温37.6℃。眼瞼結膜は貧血様で、眼球結膜に軽度黄染を認める。両頬部に紅斑を認める。硬口蓋粘膜に発赤とびらんを認める。両側の複数の近位指節間関節に腫脹と圧痛を認める。尿所見:蛋白2+、潜血3+、沈渣に赤血球、円柱を認めない。血液所見:赤血球298万、Hb 7.9g/dL、Ht 25%、白血球2,800、血小板12万。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン3.2g/dL、AST 45U/L、ALT 20U/L、LD 298U/L(基準120~245)、ALP 98U/L(基準38~113)、尿素窒素12mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、Fe 42μg/dL。免疫血清学所見:CRP 0.2mg/dL、抗核抗体320倍(基準20以下)、抗dsDNA抗体364IU/mL(基準12以下)、直接クームステスト陽性。

この患者で予想される検査所見はどれか。

網赤血球数低下
ハプトグロビン低下
C1インヒビター低下
ADAMTS-13活性低下
血清補体価〈CH50〉上昇

解答: b

116C40の解説

【プロセス】
①若年女性
②海水浴に行った後から発症
③微熱、両頬部紅斑(蝶形紅斑疑い)、手指関節痛、ふらつき
④眼球結膜に軽度黄染
⑤尿蛋白2+、潜血3+
⑥汎血球減少
⑦アルブミン3.2g/dL
⑧抗核抗体・抗dsDNA抗体陽性
⑨直接クームステスト陽性
☞⑧より全身性エリテマトーデス〈SLE〉の診断は容易。①の年齢、②の光線過敏、③の各種症状、⑥も矛盾しない。⑤⑦より腎障害もみられていて、ネフローゼ症候群の形をとっている。⑨からは自己免疫性溶血性貧血〈AIHA〉の合併が見てとれ、これによる溶血で④へ至っている可能性が高い。

【選択肢考察】
a AIHAによる溶血のフィードバックで、網赤血球数は増加が予想される。
b 正しい。溶血により、ハプトグロビンは低下する。
c 血管性浮腫〈Quincke 浮腫〉の所見。
d 血栓性血小板減少性紫斑病〈TTP〉の所見。
e SLEでは血清補体価が低下する。

正答率:87%

テーマ:自己免疫性溶血性貧血〈AIHA〉で予想される検査所見

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