116C37

75歳の女性。血便を主訴に来院した。半年前から時折暗赤色の血便があったが、自然軽快するため様子をみていた。3日前から再び血便が出現したため受診した。受診日の朝には普通便に戻っていた。既往歴に特記すべきことはなく、現在内服薬はない。意識は清明。体温36.8℃。脈拍84/分、整。血圧116/84mmHg。呼吸数16/分。SpO2 96%(room air)。眼瞼結膜に軽度貧血を認める。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。直腸指診で異常を認めない。血液所見:赤血球345万、Hb 8.6g/dL、Ht 26%、白血球7,400、血小板26万、血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.6g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 26U/L、ALT 27U/L、LD 265U/L(基準値120~245)、アミラーゼ65U/L(基準37~160)、尿素窒素21mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、Fe 23μg/dL、フェリチン10ng/mL(基準20~120)、TIBC 412μg/dL(基準290~390)、血糖101mg/dL、Na 142mEq/L、K 4.6mEq/L、Cl 99mEq/L。CRP 0.1mg/dL。便潜血検査陽性。腹部造影CT、上部および下部消化管内視鏡検査を施行したが病変は認めなかった。

次に行う検査として適切なのはどれか。

小腸造影
腹部MRI
腹部血管造影
小腸カプセル内視鏡
Meckel憩室シンチグラフィ

解答: d

116C37の解説

【プロセス】
①半年前から時折暗赤色の血便(便潜血検査陽性)
②眼瞼結膜に軽度貧血
③Hb 8.6g/dL・Feとフェリチン低下・TIBC高値
④腹部造影CT・上部/下部消化管内視鏡検査で病変見つからず
☞①より消化管出血を疑う。②③より失血による鉄欠乏性貧血を呈しているようだ。④の範囲内で見つからないということは、残る可能性は小腸だ。

【選択肢考察】
a たしかに小腸の検査ではあるも、造影なので白黒の世界で判断することとなる。大きな腫瘍であれば見つかりやすいも、出血の原因の同定は難しい。
b 腹部造影CTでも病変が見つかっておらず、MRIにしても結果は変わらないと推測される。
c 出血している原因血管が見つかる可能性はあるも、小腸は長い構造であるため、網羅的な実施は困難。まずはもう少し大雑把にスクリーニングできる検査を行いたい。
d 正しい。カプセル内視鏡により小腸の肉眼所見を網羅的に入手可能。原因部位の同定に役立つ。
e Meckel憩室の検査。Meckel憩室はそもそも若年者に多い病態ではあるし、現時点でMeckel憩室の存在が濃厚なわけでもない。決め打ちをして侵襲のある検査をする意義には乏しい。

正答率:94%

テーマ:CTと上部/下部消化管内視鏡でも病変が確認できない血便への検査

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