116C36

65歳の女性。多発関節痛を主訴に来院した。5か月前に自宅近くの医療機関で関節リウマチの診断を受けた。B型およびC型肝炎ウイルス検査、結核菌特異的全血インターフェロンγ遊離測定法〈IGRA〉は陰性で、メトトレキサートとプレドニゾロンによる治療が開始されたが、症状が改善しないため紹介受診となった。多発関節炎を認め、生物学的製剤による治療の適応と考えられた。併存疾患はない。輸血歴、結核の家族歴や接触歴もない。末梢血白血球数、リンパ球数、血清IgG、胸部エックス線検査に異常を認めない。

この患者で生物学的製剤による治療開始前に追加すべき検査はどれか。

抗EBNA抗体
β-D-グルカン
抗アスペルギルス抗体
抗水痘・帯状疱疹ウイルス抗体
血中サイトメガロウイルス抗原

解答: b

116C36の解説

【プロセス】
①関節リウマチの診断済
②B型/C型肝炎ウイルス、IGRAは陰性
③メトトレキサートとプレドニゾロンによる治療開始
④生物学的製剤による治療の適応
☞①の治療として③、そして事前の②検査はプロトコル通り。④に際し、追加で何を検査すべきか、という一歩突っ込まれた出題となっている。そのためか、出題者の意図したと思われる正解肢を選べた者は約10%と散々たる結果に。受験生レベルでは難しすぎるため、採点除外となった。水痘・帯状疱疹ウイルスまたはサイトメガロウイルスを選択肢した者が約85%。気持ちは分かるが、頻度的な問題やルール上の問題から、実臨床上は行われていない。モヤモヤするところかもしれないが、ある程度は「そういうもの」と割り切るしかなかろう。

【選択肢考察】
a EBウイルスの抗体。日和見感染する病原体ではないため、特に考えなくてよい。
b 正しい。生物学的製剤導入により、真菌感染症に対する抵抗力が弱くなる。そのため、現時点で深在性真菌症に罹患していないか、確認すべき。
c 日和見感染の原因とはなるも、生物学的製剤導入後には頻度的に稀。
d 免疫低下により帯状疱疹が出現しやすくなるも、治療法は確立しており、かつ潜在している水痘・帯状疱疹ウイルスの根治方法もない。そのため、現時点で評価する意義に乏しい。
e 日和見感染の原因とはなるも、生物学的製剤導入後には頻度的に少ない。

正答率:10%

テーマ:関節リウマチ患者に対する生物学的製剤治療の前に行う検査

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