116C2

低栄養が疑われる高齢者(BMI 18kg/m2、6か月で3kgの体重減少)で腎障害がない場合の栄養管理として適切でないのはどれか。

水分:30mL/kg/日
脂肪:総エネルギーの25%
糖質:総エネルギーの55%
タンパク質:0.8g/kg/日
総エネルギー:30kcal/kg/日

解答: d

116C2の解説

【選択肢考察】
a 体重や活動状況により異なるが、人は1日1〜3L程度の水分摂取が必要だ。この高齢者の身長を170cmと仮定する。するとBMIより体重は約52kgとなる。水分30mL/kg/日とするならば、1日あたり52×30=1,560mL、およそ1.5Lの投与となる。これは体重減少を認める低栄養疑いの高齢者には程よい量と言える。
b 糖質:蛋白質:脂質=60:15:25程度が望ましい。ゆえに脂肪25%は丁度である。
c 糖質:蛋白質:脂質=60:15:25程度が望ましい(むろん必ずしもピッタリである必要はなく、±5%程度は前後して構わない)。ゆえに糖質55%は適切。
d 誤り。糖質:蛋白質:脂質=60:15:25程度が望ましい。他選択肢にある総エネルギー30kcal/kg/日を用いると、(水分の選択肢で仮定した)体重52kgであれば1日1,560kcalの摂取が必要となる。蛋白質は1gあたり4kcalであるため、1,560kcalの15%を蛋白質で摂るためには、1,560×0.15÷4=58.5gの蛋白質を1日あたり摂取すべきと分かる。今、体重52kgで話を進めているため、58.5÷52=1.125であることから、1g強/kg/日の蛋白質を摂取すべきと導ける。0.8g/kg/日は少ない。なお、慢性腎臓病〈CKD〉のステージ3a以降は蛋白質0.8g/kg/日程度に制限することが推奨されている。その観点から、本文では「腎障害がない」と断り書きがしてあると考えられる。
e 総エネルギーは生活における活動に応じ、25〜35kcal/kg/日が推奨される。本患者では低栄養が疑われ、体重減少もあるため、さすがに最低レベルの25では不足だ。かといって、高齢者であり、活動レベルも高くないと推定されるため35は多すぎる。間をとって30kcal/kg/日程度が望ましい。

正答率:74%

テーマ:低栄養が疑われる高齢者の栄養管理

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