116B48

次の文を読み、以下の問いに答えよ。

64歳の女性。意識障害のため救急車で搬送された。
現病歴:自宅の脱衣場で意識がないのを夫が発見して救急要請をした。本人が入浴のため脱衣場に行って約1時間後に発見し、嘔吐した痕跡を認めたが、明らかな頭部外傷は認めなかった。救急隊到着時には心停止であったが、胸骨圧迫とバッグバルブマスク換気により自己心拍は再開し、救急搬送となった。
既往歴:54歳から高血圧症で降圧薬を服薬中である。
生活歴:喫煙は15本/日を44年間。飲酒はビール350mL/日を週6回。夫と2人暮らし。
家族歴:母は85歳時に脳出血で死亡。
現 症:意識レベルはJCS III-300。身長160cm、体重54kg。体温36.0℃。心拍数64/分、整。血圧98/50mmHg。換気回数10/分。SpO2 92%(バッグバルブマスク換気による調節呼吸)。舌根が沈下している。瞳孔は両側ともに径4mm、対光反射は両側で遅延している。心電図モニターは洞調律であるが、巨大陰性T波を認める。

搬入時に優先して行うべきなのはどれか。

気管挿管
アドレナリン筋注
プレドニゾロン静注
グルコン酸カルシウム静注
電気的除細動(電気ショック)

解答: a

116B48の解説

【プロセス】
①意識障害(JCS III-300)の64歳女性
②救急隊到着時には心停止→胸骨圧迫とバッグバルブマスク換気により自己心拍再開
③舌根沈下
④心電図モニターで巨大陰性T波
☞④は急性冠症候群〈ACS〉などの心疾患やくも膜下出血〈SAH〉にてみられる。これらが原因となった心停止と自己心拍再開〈ROSC〉である。1問目となる本問では優先して行うべき救急的対応が問われている。

【選択肢考察】
a 正しい。③より気道確保が優先される。
b アナフィラキシーショックに有効。
c 副腎皮質ステロイドであり、現時点の情報だけからは適応とならない。
d 高カリウム血症(その場合はテント状T波がみられる)の治療。
e すでに自己心拍が再開しており、不要。

正答率:99%

テーマ:【長文1/2】舌根沈下のある意識障害患者に優先して行うべきこと

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