116B44

次の文を読み、以下の問いに答えよ。

78歳の女性。息切れを主訴に来院した。
現病歴:65歳で事務職を退職するまで毎年、健康診断を受けていたが、異常を指摘されたことはなかった。4年前に感冒症状で自宅近くの診療所を受診した時に、心雑音を指摘されたが精査はされていない。趣味で卓球をしていたが、1年ほど前から競技中に胸部圧迫感を自覚するようになった。1か月ほど前から買い物のためスーパーまで15分程度歩いていく途中に息切れを自覚するようになった。
生活歴:喫煙は20歳から65歳まで1日20本。飲酒は機会飲酒。
家族歴:父が73歳時に脳出血で死亡。母は82歳時に腹部大動脈にステントグラフト内挿術を受けた。
現 症:意識は清明。身長154cm、体重54kg。体温36.8℃。脈拍60/分、整。血圧154/92mmHg。呼吸数18/分。SpO2 97%(room air)。眼瞼結膜に異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。呼吸音に異常を認めない。頸部に放散する胸骨右縁第2肋間を最強点とするLevine 3/6の駆出性収縮期雑音を聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。

可能性の高い疾患はどれか。

肥大型心筋症
動脈管開存症
大動脈弁狭窄症
心房中隔欠損症
僧帽弁閉鎖不全症

解答: c

116B44の解説

【プロセス】
①高齢女性
②卓球中に胸部圧迫感・徒歩時に息切れを自覚
③頸部に放散する胸骨右縁第2肋間を最強点とする駆出性収縮期雑音
☞①②より心不全を考える。②の「胸部圧迫感」というキーワードからは虚血性心疾患を思い浮かべるのだが、③は大動脈弁狭窄症〈AS〉のキーワード。ASによる心拍出低下で冠血流量が落ち、狭心痛をきたしたものと考えられる。

【選択肢考察】
a 肥大型心筋症〈HCM〉でも駆出性収縮期雑音を聴取するが、胸骨左縁第3〜4肋間を最強点とすることが多い。
b 胸骨左縁第2肋間を最強点とする連続性雑音を聴取する。
c 正しい。上記の通り。
d 相対的三尖弁狭窄症〈TS〉や肺動脈弁狭窄症〈PS〉による雑音を聴取するが、最強点は胸骨左縁第2〜4肋間である。
e 心尖部を最強点とする汎収縮期雑音を聴取する。

正答率:99%

テーマ:【長文1/2】大動脈弁狭窄症〈AS〉の診断

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