116B38

64歳の男性。前胸部痛を主訴に来院した。3か月前から坂道や階段の昇降などで前胸部に圧迫感を感じるようになった。5分程度立ち止まって安静にしていると症状は改善していた。本日、夕食後に前胸部に焼けるような痛みが出現した。横になって安静にしていたが、45分程度たっても症状が改善しないため家族とともに救急外来を受診した。意識は清明。身長162cm、体重47kg。体温36.7℃。脈拍96/分、整。血圧156/88mmHg。呼吸数24/分。SpO2 95%(room air)。心筋トロポニンT迅速検査陽性。心電図(A)と胸部エックス線写真(B)とを別に示す。

最も可能性が高いのはどれか。

自然気胸
急性心筋梗塞
逆流性食道炎
たこつぼ心筋症
急性肺血栓塞栓症

解答: b

116B38の解説

【プロセス】
①3か月前から坂道や階段の昇降などで前胸部に圧迫感
②本日、夕食後に前胸部に焼けるような痛みが出現
③45分程度たっても症状が改善しない
④心筋トロポニンT迅速検査陽性
⑤心電図にてI, aVL, V1〜V5のST上昇(II, III, aVFのST低下は鏡像変化であろう)
⑥胸部エックス線に明らかな異常は認めない
☞①より虚血性心疾患を疑う。②〜⑤より急性心筋梗塞〈AMI〉の診断。⑥は選択肢の他疾患を除外するための提示と考えられる。

【選択肢考察】
a 突発性の胸痛をみる。また、胸部エックス線にて虚脱した肺を同定できる。
b 正しい。上記の通り。
c ④⑤に矛盾する。
d 高齢女性に多く、ストレスが誘因となる。本症例のように数か月間継続的にみられるものではない。
e 術後、急に立ち上がった際などにみられやすく、本症例のように数か月間継続的にみられる可能性は低い。また、SpO2が高度に低下する。

正答率:99%

テーマ:急性心筋梗塞〈AMI〉の診断

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