116A75

70歳の女性。脳梗塞後に右片麻痺が残存し、回復期リハビリテーション病院に入院中である。8週間前に右上下肢の脱力を自覚し、左内包梗塞の診断で急性期病院で保存的治療を受け、2週間前に回復期リハビリテーション病院に転院した。意識は清明。血圧116/70mmHg。右利き。右上肢は痙縮のため肘関節屈曲90度、手指屈曲位であり、他動的に伸展は可能だが、全可動域で抵抗を感じる。手指の随意運動は認めない。徒手筋力テストでは、右腸腰筋4、右大腿四頭筋4、右前脛骨筋0、左上下肢筋力は5である。右半身の表在感覚と深部感覚に異常を認めない。端座位が可能、左手で手すりを使用して立ち上がり、立位保持は可能である。

リハビリテーションとして適切なのはどれか。3つ選べ

更衣動作訓練
右手での書字訓練
右上肢の他動可動域訓練
短下肢装具と杖使用での歩行訓練
リクライニング車椅子使用での座位訓練

解答: a,c,d

116A75の解説

【プロセス】
①脳梗塞後に右片麻痺が残存
②右上肢は痙縮のため肘関節屈曲90度
③手指は屈曲位で随意運動を認めない
④徒手筋力テストで右前脛骨筋0
⑤端座位が可能
⑥左手で手すりを使用して立ち上がり、立位保持は可能
☞本患者に適切なリハビリテーションの内容が問われている。選択肢を1つずつ本文と照らし合わせて考えていこう。

【選択肢考察】
a 正しい。右片麻痺はあるも、左側は保たれているため、究極的には左手と左脚のみで更衣動作が可能。ただ、自身で実際に試してみると分かるのだが、これは案外大変。適宜、右手や右足も可能な範囲で動かし更衣動作訓練をするリハビリテーションが望ましい。
b ③より書字は不可能である。
c 正しい。②にある痙縮を少しでも緩和すべく、他動可動域訓練を行いたい。
d 正しい。⑥をみるに、訓練次第で杖使用による歩行は可能そうだ。ただし④より右下腿のサポートは必須。これには短下肢装具の利用がふさわしい。
e ⑤⑥まで実行可能な患者に対してリクライニング車椅子の使用は必要ない。

正答率:85%

テーマ:脳梗塞後患者の回復期リハビリテーション

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし