116A69

22歳の男性。頸髄損傷で入院中である。8週間前に高所から転落し受傷した。徒手筋力テストでは両側ともに上腕二頭筋5、橈側手根伸筋5、上腕三頭筋4、深指屈筋0、小指外転筋0である。体幹筋と下肢筋の筋収縮は認めない。両側上肢尺側、体幹、両下肢、肛門周囲の感覚の脱失を認める。

獲得が見込まれる活動はどれか。2つ選べ

自己導尿
車いす移乗動作
箸を使用しての食事動作
両杖を使用しての平地歩行
長下肢装具を使用しての階段昇降

解答: a,b

116A69の解説

【プロセス】
①頸髄損傷で入院中
②徒手筋力テストでは両側ともに上腕二頭筋5、橈側手根伸筋5、上腕三頭筋4、深指屈筋0、小指外転筋0
③体幹筋と下肢筋の筋収縮は認めない
④両側上肢尺側、体幹、両下肢、肛門周囲の感覚の脱失
☞上腕二頭筋はC5、橈側手根伸筋はC6、上腕三頭筋はC7、深指屈筋と小指外転筋はC8支配である。②より上腕三頭筋4とのことで、C7がかろうじて保たれており、③と合わせ、C8以下が機能喪失していると読み取れる。④の感覚脱失もC8以下の障害に矛盾しない。

【選択肢考察】
a 正しい。実際にやってみてほしいのだが、手関節を背屈(手を反らす)と手指は屈曲し、つまみ動作が可能となる(これをテノデーシス作用と呼ぶ)。すなわち、C6(手根伸筋支配)の残存により、手関節の背屈が可能となり、これは尿カテーテルをつまむ動作が可能ということを意味する。よって、自己導尿ができる。
b 正しい。車いすへの移乗にはプッシュアップ動作が必要となる。これには上腕三頭筋(C7支配)が必要。本患者ではC7機能がかろうじて残存しているので訓練により獲得が見込まれる。
c C8機能を喪失しているため、指の細かな動きは望めない。
d 体幹筋と下肢筋は全く動かないため、歩行は望めない。
e 体幹筋と下肢筋は全く動かないため、階段昇降は望めない。

正答率:73%

テーマ:頸髄損傷患者で獲得が見込まれる活動

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