116A65

35歳の経産婦(3妊2産)。妊娠34週2日、妊婦健康診査のため受診した。妊娠初期から妊婦健康診査を受けていた。30歳時および32歳時に、それぞれ骨盤位および既往帝王切開の適応で選択的帝王切開の既往がある。身長157cm、体重55kg(非妊時46kg)。体温36.8℃。脈拍80/分、整。血圧110/74mmHg。1日に数回の子宮収縮を自覚している。胎児心拍数陣痛図で異常を認めない。1週間前に施行した骨盤MRIのT2強調矢状断像を別に示す。

説明として適切なのはどれか。2つ選べ

「胎盤の後面に血腫をみとめます」
「胎盤が内子宮口を覆っています」
「臍帯血管が内子宮口上を走行しています」
「胎盤の一部が子宮壁から剥がれています」
「胎盤が子宮筋層を貫いている可能性があります」

解答: b,e

116A65の解説

【プロセス】
①妊娠34週
②選択的帝王切開の既往が2回ある
③胎児心拍数陣痛図で異常を認めない
④骨盤MRIのT2強調矢状断像では内子宮口を完全に覆う胎盤(全前置胎盤)が指摘可能。また、膀胱と子宮の近づく部分をよく見ると、筋層が菲薄化している。前置胎盤には癒着胎盤を合併しやすいため、胎盤の癒着が疑われる。
☞①より妊娠末期のトラブルを考える。②は前置胎盤のリスクである。④より全前置胎盤の診断と癒着胎盤の疑いと判断される。なお、③より胎児の状態は現時点では良好であり、急ぎの対応は不要。

【選択肢考察】
a 胎盤後面(直腸に近づく部分)で画像上、低信号に見える部分は子宮筋層である。これは血腫ではない。
b 正しい。全前置胎盤に言及している。
c 前置血管について言及しているが、画像からは内子宮口上の血管は同定できない。
d 常位胎盤早期剥離について言及しているが、胎盤が剥離している所見は画像上、同定できない。
e 正しい。癒着胎盤の疑いについて言及している。

正答率:68%

テーマ:前置胎盤・癒着胎盤の妊婦への説明

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