116A62

58歳の女性。下腿の浮腫を主訴に来院した。毎年職場健診を受診していたが、異常は指摘されなかった。半年前の健診ではじめて蛋白尿を指摘されたが、症状がないのでそのままにしていた。1か月前から両下腿の浮腫が出現し、次第に増悪したので受診した。身長160cm、体重60kg。脈拍64/分、整。血圧132/90mmHg。胸腹部に異常を認めない。両下腿に圧痕性浮腫を認める。皮膚に異常を認めない。尿所見:蛋白3+、糖(−)、潜血(−)、沈渣に赤血球0~2/HPF、白血球0~2/HPF、硝子円柱を少数認める。随時尿の尿蛋白280mg/dL、クレアチニン70mg/dL。血液所見:赤血球460万、Hb 13.1g/dL、Ht 42%。血液生化学所見:総蛋白5.3g/dL、アルブミン2.6g/dL、IgG 1,100mg/dL(基準960~1,960)、IgA 386mg/dL(基準110~410)、lgM188mg/dL(基準65~350)、尿素窒素31mg/dL、クレアチニン1.3mg/dL、eGFR 33.5mL/分/1.73m2、尿酸7.0mg/dL、血糖102mg/dL、HbA1c 5.9%(基準4.6~6.2)、LDLコレステロール213mg/dL。免疫血清学所見:CRP 0.1mg/dL、抗核抗体20倍(基準20以下)。腎生検のPAM染色標本(A)と蛍光抗体IgG染色標本(B)とを別に示す。Congo-Red染色は陰性である。

尿蛋白の原因として最も考えられるのはどれか。

膜性腎症
強皮症腎
糖尿病性腎症
アミロイド腎症
微小変化型ネフローゼ症候群

解答: a

116A62の解説

【プロセス】
①両下腿に圧痕性浮腫
②尿蛋白3+
③硝子円柱を少数
④アルブミン2.6g/dL
⑤eGFR 33.5mL/分/1.73m2
⑥LDLコレステロール213mg/dL
⑦腎生検のPAM染色標本にて基底膜の肥厚とspike形成
⑧蛍光抗体IgG染色標本にて係蹄壁に沿ったIgGの顆粒状沈着
☞①②④⑥よりネフローゼ症候群である(③も矛盾しない)。⑤より腎機能低下もありそうだ。⑦⑧より膜性腎症の診断。

【選択肢考察】
a 正しい。上記の通り。
b 抗核抗体が陽性となることが多い。
c 血糖値とHbA1cより糖尿病は否定的。
d Congo-Red染色は陰性であり否定的。
e 微小変化型では腎生検の光学顕微鏡所見で明らかな異常を認めない。

正答率:99%

テーマ:膜性腎症〈MN〉の診断

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