116A60

80歳の男性。左側頭部から左頬部の皮疹を主訴に来院した。3か月前に左側頭部に紫紅色斑が出現した。次第に拡大、隆起し、出血するようになった。10年前から心房細動で抗凝固薬を服用中である。皮疹の契機について思い当たることはないという。左側頭部に皮疹を認める。鱗屑は認めない。左頸部リンパ節を触知する。左側頭部の写真を別に示す。

最も考えられるのはどれか。

血管肉腫
有棘細胞癌
老人性紫斑
血管拡張性肉芽腫
抗凝固薬の内服による紫斑

解答: a

116A60の解説

【プロセス】
①高齢男性
②3か月前に左側頭部に紫紅色斑が出現、次第に拡大・隆起し、出血
③皮疹の契機について思い当たることはない
④左頸部リンパ節を触知
⑤左側頭部の写真では一部痂皮や潰瘍を伴う左側頭部の紫紅色斑を指摘可能
☞①②からは皮膚科領域の悪性腫瘍を考える。⑤より血管肉腫が考えやすい。③について、本疾患は打撲や外傷を契機とすることが多い。むろん全例ではないため、今回はその例外だった可能性もある。が、(情報に乏しくあくまで憶測の範囲を出ないが)高齢であるため認知機能が低下しているなどの理由で軽微な打撲を忘れていたことも考えられる。④からはリンパ節転移が疑われる。

【選択肢考察】
a 正しい。上記の通り。
b 頭部〜顔面(特に露光部)に赤色〜褐色の腫瘤をみる。
c 前腕や手背に好発。隆起やリンパ節転移はない。
d 毛細血管の増殖により、皮膚の結節をみる。良性腫瘍であり、拡大傾向やリンパ節転移はない。
e 前腕や手背に好発。隆起やリンパ節転移はない。

正答率:86%

テーマ:血管肉腫の診断

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