116A56

18歳の男子。全身倦怠感と発熱を主訴に来院した。2週間前から労作時の息切れを自覚していた。3日前から38℃台の発熱と全身倦怠感があり受診した。身長170cm、体重60kg。体温38.3℃。脈拍100/分、整。血圧118/64mmHg。両下肢に点状出血を認める。眼瞼結膜は貧血様であるが、眼球結膜に黄染を認めない。胸骨右縁第2肋間を最強点とするLevine 2/6の収縮期駆出性雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。圧痛を認めない。血液所見:赤血球230万、Hb 6.8g/dL、Ht 20%、白血球1,400(分葉核好中球24%、単球2%、リンパ球74%)、血小板1.2万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.4g/dL、総ビリルビン0.7mg/dL、AST 56U/L、ALT 71U/L、LD 158U/L(基準120~245)、尿素窒素14mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、血糖98mg/dL。CRP 4.2mg/dL。骨髄生検では著明な低形成所見を認める。

この患者で低下するのはどれか。

フェリチン
網赤血球数
ビタミンB12
エリスロポエチン
好中球アルカリフォスファターゼスコア

解答: b

116A56の解説

【プロセス】
①労作時の息切れ・全身倦怠感と発熱
②両下肢に点状出血
③眼瞼結膜は貧血様
④眼球結膜に黄染なし
⑤収縮期駆出性雑音を聴取
⑥汎血球減少
⑦骨髄生検では著明な低形成
☞⑦より再生不良性貧血を考えよう。骨髄での造血自体が低下しており、結果⑥となる。これにより貧血(③⑤)と血小板減少(②)がみられる。①で発熱があるのは白血球数減少による感染の結果かもしれない。なお貧血はあくまで造血低下によるものであり、溶血によるものではないことを④から読み取りたい。

【選択肢考察】
a 造血が低下している状態であるため、赤血球の材料は余る傾向にある。その結果、鉄も余り、貯蔵鉄であるフェリチンも増加する。
b 正しい。造血低下により、幼若な赤血球である網赤血球数は低下する。
c ビタミンB12が低下するのは巨赤芽球性貧血である。
d 貧血に対するネガティブフィードバックにより、エリスロポエチンは増加する。
e NAPスコアが低下するのは発作性夜間ヘモグロビン尿症〈PNH〉や慢性骨髄性白血病〈CML〉、骨髄異形成症候群〈MDS〉である。

正答率:89%

テーマ:再生不良性貧血〈AA〉の検査所見

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