116A53

76歳の男性。喀痰の増悪を主訴に入所している介護施設の職員に伴われて来院した。8年前に胃癌に対して胃全摘術を受けた。その後体重減少をきたし、5年前から喀痰が出現した。1週間前から喀痰量が増加し喀出困難となったため受診した。身長157cm、体重41kg。体温37.5℃。脈拍72/分、整。血圧134/84mmHg。呼吸数18/分。SpO2 96%(room air)。両側の胸部にcoarse cracklesを聴取する。皮膚のツルゴールは低下している。血液所見:赤血球424万、Hb 13.6g/dL、Ht 28%、白血球11,400(好中球81%、単球5%、リンパ球14%)、血小板35万。血液生化学所見:総蛋白7.9g/dL、血清アルブミン2.7g/dL。尿素窒素37mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL。CRP 13mg/dL。喀痰Gram染色標本を別に示す。

補液を開始し、この微生物の同定および薬剤感受性試験の結果を待つ間に投与を開始すべき抗菌薬はどれか。

セファゾリン
ピペラシリン
バンコマイシン
クリンダマイシン
ベンジルペニシリン

解答: b

116A53の解説

【プロセス】
①1週間前から喀痰量が増加し喀出困難
②両側の胸部にcoarse crackles
③白血球11,400(好中球81%)・CRP高値
④喀痰Gram染色標本にてグラム陰性桿菌
☞①②③より細菌性肺炎を考える。④より緑膿菌や肺炎桿菌が考えやすい。

【選択肢考察】
a 主にグラム陽性球菌に有効。
b 正しい。緑膿菌や肺炎桿菌への抗菌活性をもつ。
c MRSAなどに有効。
d 主に嫌気性菌に有効。
e 主にグラム陽性球菌に有効。

正答率:37%

テーマ:医療・介護関連肺炎〈NHCAP〉に有用な抗菌薬

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