116A51

日齢14の男児。染色体検査の結果説明のため両親とともに来院した。在胎39週、出生体重2,800g、Apgarスコア8点(1分)、9点(5分)で出生した。体重3,300g。体温36.5℃。心拍数120/分。呼吸数40/分。SpO2 98%(room air)。切れ上がった目、平坦で低い鼻、口外に突き出た舌などの顔貌異常を認める。心音に異常はなく心雑音も認めない。呼吸音に異常を認めない。軽度の腹部膨満を認める。手掌単一屈曲線を認め、筋緊張低下を認める。染色体検査を別に示す。

この患児に今後合併する可能性が高いのはどれか。

脳性麻痺
Wilms腫瘍
滲出性中耳炎
難治性下痢症
甲状腺機能亢進症

解答: c

116A51の解説

【プロセス】
①日齢14の男児
②切れ上がった目、平坦で低い鼻、口外に突き出た舌などの顔貌異常
③軽度の腹部膨満
④手掌単一屈曲線
⑤筋緊張低下
⑥染色体検査にて21 trisomy
☞⑥よりDown症候群である。②〜⑤も特徴的な所見だ。なお、③はDown症候群に合併しやすいクレチン症の症候を指している可能性もある。

【選択肢考察】
a Apgarスコア8点(1分)〜9点(5分)であり、脳性麻痺は考えにくい。
b 白血病の合併は有名だが、Wilms腫瘍のような固形腫瘍の合併は少ない。
c 正しい。Down症候群では上気道感染を反復しやすい、頭蓋骨が短形で鼻咽腔が狭い、乳突蜂巣の発育が不良、耳管が短く脆弱、耳管咽頭口の開閉に関与する筋力低下、といった様々な事情により、滲出性中耳炎をきたしやすい。
d 前述のように、Down症候群にはクレチン症(先天性甲状腺機能低下症)を合併しやすい。その場合、便秘気味になる。
e 前述のように、Down症候群にはクレチン症(先天性甲状腺機能低下症)を合併しやすい。甲状腺機能亢進症の合併も稀ながらあるが、「可能性が高い」という設問設定上、滲出性中耳炎に正解を譲るべきだ。

正答率:49%

テーマ:Down症候群〈21トリソミー〉の合併症

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