116A50

35歳の男性。咳嗽、発熱、呼吸困難を主訴に来院した。3週間前から乾性咳嗽が出現し、5日前から発熱と呼吸困難を認めるため受診した。1か月前に築30年の家の掃除を行ったという。意識は清明。身長168cm、体重80kg。体温38.4℃。脈拍104/分、整。血圧112/62mmHg。呼吸数18/分。SpO2 90%(room air)。心音と呼吸音に異常を認めない。血液所見:赤血球416万、Hb 12.6g/dL、Ht 38%、白血球10,500(好中球74%、好酸球4%、好塩基球0%、単球3%、リンパ球19%)、血小板30万。血液生化学所見:総ビリルビン0.5mg/dL、AST 24U/L、ALT 37U/L、LD 201U/L(基準120~245)、ALP 69U/L(基準38~113)、γ-GT 52U/L(基準8~50)、尿素窒素8.7mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、血糖92mg/dL。CRP 10mg/dL。胸部エックス線写真(A)と胸部単純CT(B)とを別に示す。

最も考えられるのはどれか。

過敏性肺炎
特発性肺線維症
非結核性抗酸菌症
マイコプラズマ肺炎
新型コロナウイルス肺炎

解答: a

116A50の解説

【プロセス】
①乾性咳嗽、発熱、呼吸困難
②1か月前に築30年の家の掃除
③胸部エックス線にて両側下肺野のスリガラス陰影
④胸部単純CTにて両側性の粒状影
☞②があまりにも強いキーワードである。過敏性肺炎を考えよう。①の症候や③④の所見も合致する。

【選択肢考察】
a 正しい。上記の通り。
b fine cracklesを聴取する。
c 血痰の出現や、S4, 5領域に好発する粒状影をみる。
d 白血球数は一般に上昇しない。
e 本問の作問時ならび出題時(2021夏〜2022春)は新型コロナウイルスの世界的流行が続いていた。実際、与えられた情報から100%新型コロナウイルス感染症が否定できるわけではない。むしろ時勢を考慮した場合、否定してはならないだろう。しかしながら、今回問われているのは「最も考えられる」ものであり、「1か月前に築30年の家の掃除」というパワーワードからは過敏性肺炎を素直に選択するべきだ。

正答率:92%

テーマ:過敏性肺炎の診断

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