116A48

10か月の男児。嘔吐と血便を主訴に母親に連れられて来院した。今朝から急に嘔吐が続き、時折激しく泣くこともあり、昼間から血便が複数回みられた。意識は清明だが不機嫌で激しく泣いている。体温37.2℃。脈拍160/分、整。血圧84/52mmHg。呼吸数30/分。毛細血管再充満時間1秒。SpO2 99%(room air)。心音と呼吸音に異常を認めない。腹部は軟で、右上腹部に腫瘤を触知する。血液検査所見に異常を認めない。腹部エックス線写真では右上腹部に腸管ガス像がなく、鏡面像や腹腔内遊離ガス像は認めなかった。腹部超音波像ではtarget signを認めた。

保護者への説明として適切なのはどれか。

「高圧浣腸で整復できれば帰宅できます」
「炎症を抑えるため抗菌薬の内服が必要です」
「腹膜炎を併発しているため緊急手術になります」
「グリセリン浣腸をして便の状態を確認しましょう」
「高圧浣腸で整復できなければ開腹手術になります」

解答: e

116A48の解説

【プロセス】
①10か月の男児
②嘔吐と血便
③不機嫌で時折激しく泣く(間欠的)
④右上腹部に腫瘤
⑤右上腹部に腸管ガス像がない
⑥腹部は軟・鏡面像や腹腔内遊離ガス像なし
⑦target sign
☞①②③⑦より腸重積の診断。④は重積した腸管を触れている。これにより⑤のガスがない、という状況になる。⑥より腹膜炎や腸閉塞は否定的。

【選択肢考察】
a 高圧浣腸での整復を試みるが、その後は入院にて様子をみるのが一般的である。
b 細菌感染症ではないため、不要。
c 上述の通り、腹膜炎の併発は考えにくい。
d すでに血便が確認できている以上、必要ない。
e 正しい。まずは高圧浣腸での整復を試み、整復できなかった場合は開腹手術に踏み切る。

正答率:81%

テーマ:腸重積症の保護者への説明

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