116A40

15歳の男子。下肢の痛みと赤褐色尿のため家族とともに来院した。3日前に野球部の練習に参加し、炎天下での激しいトレーニング中に頭痛と下肢の脱力を認めたが飲水と休憩で改善した。2日前から両大腿前面に筋肉痛を感じながら練習を続けていた。昨晩から赤褐色尿が出現したため受診した。意識は清明。身長167cm、体重62kg。体温37.1℃。脈拍84/分、整。血圧134/62mmHg。呼吸数16/分。SpO2 98%(room air)。心音と呼吸音に異常を認めない。腰背部痛と両大腿の筋痛を認める。神経診察に異常を認めない。尿所見:色調は暗褐色、比重1.022、pH 6.5、蛋白+、潜血3+、沈渣に赤血球1~4/HPFを認める。血液所見:赤血球536万、Hb 16.0g/dL、Ht 45%、白血球9,000、血小板28万。血液生化学所見:総蛋白6.7g/dL、アルブミン4.2g/dL、AST 1,927U/L、ALT 366U/L、CK 155,150U/L(基準30~140)、尿素窒素8.7mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、尿酸4.6mg/dL、Na 142mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 105mEq/L。

最初に行う輸液の組成として適切なのはどれか。

5%ブドウ糖液
Na+ 154mEq/L、Cl- 154mEq/L
Na+ 84mEq/L、K+ 20mEq/L、Cl- 66mEq/L、L-Lactate- 20mEq/L
Na+ 84mEq/L、K+ 200mEq/L、Cl- 66mEq/L、L-Lactate- 20mEq/L
Na+ 30mEq/L、Cl- 20mEq/L、L-Lactate- 20mEq/L

解答: b

116A40の解説

【プロセス】
①3日前に野球部の練習(炎天下での激しいトレーニング)
②両大腿前面に筋肉痛
③昨晩から赤褐色尿が出現(潜血3+だが沈渣赤血球は1~4/HPF)
④CK高度上昇
☞①の背景下で②③④がみられていることから、横紋筋融解症と考えられる。特に③の潜血陽性だが沈渣陰性(赤血球の沈渣は4/HPFまで基準値内である)という点が特徴的で、これはミオグロビン尿を示唆している。本患者では血圧低下がないものの、輸液が必要となる。漏出した筋成分による急性腎障害〈AKI〉と高カリウム血症を防止するためだ。これにはカリウムフリーの細胞外液である生理食塩水がベストとなる。

【選択肢考察】
a 細胞内液補充に向いている。
b 正しい。生理食塩水である。
c 2号液。カリウムが含まれており、不適切。
d カリウムが大量に含まれており、★禁忌★。
e 4号液。低張であり、細胞内液補充に向いている。

正答率:90%

テーマ:横紋筋融解症患者に最初に行う輸液の組成

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