116A38

62歳の男性。下行結腸癌と診断され、開腹による左半結腸切除を予定している。28歳時に虫垂炎による腹膜炎で1か月の入院歴がある。身長175cm、体重60kg。体温36.2℃。脈拍76/分、整。血圧120/70mmHg。呼吸数14/分。眼瞼結膜と眼球結膜に異常を認めない。心音と呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。右下腹部と腹部正中に手術痕を認める。血液所見:赤血球410万、Hb 13.8g/dL、Ht 42%、白血球5,200、血小板16万。PT-INR 1.0(基準0.9-1.1)、APTT 29.0秒(基準対象32.2)。血液生化学所見:総蛋白7.4g/dL、アルブミン4.0g/dL、総ビリルビン0.8mg/dL、AST 18U/L、ALT 20U/L、LD 196U/L(基準120~245)、ALP 102U/L(基準38~113)、クレアチニン0.8mg/dL、Na 140mEq/L、K 3.8mEq/L、Cl 100mEq/L、CEA 5.2ng/mL(基準5以下)。

この患者の周術期管理で適切なのはどれか。

手術の2時間前まで固形物摂取を許可する。
ベッド上安静が術後3日間必要である。
流動食は術後1週間から開始とする。
手術中患者の体温を室温で管理する。
持続硬膜外麻酔による鎮痛を行う。

解答: e

116A38の解説

【プロセス】
下行結腸癌と診断され、開腹による左半結腸切除を予定している62歳の男性。臨床問題である必然性に乏しい、一般知識を問うパターンの出題。

【選択肢考察】
a 手術直前に固形物を摂取すると誤嚥のリスクとなる。そのため、手術6〜8時間前に中止すべきだ。2時間前は直近すぎる。
b 早期離床が推奨される。術後、翌日から離床を開始したい。3日間は長すぎる。
c 早期経口摂取開始が推奨される。可能であれば術後、翌日から開始したい。1週後は遅すぎる。
d 実習等で手術室に入ったことは何度もあるだろう、思い出してほしい。肌寒かったはずだ。あの温度で体温を管理したら、低体温になってしまう。
e 正しい。術後の鎮痛のため、持続硬膜外麻酔の使用が有効である。

正答率:61%

テーマ:大腸癌手術の周術期管理について

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし