116A37

72歳の女性。血小板減少の精査を自宅近くの医療機関で行っていたが、精神症状が出現したため入院となった。感冒様症状で自宅近くの医療機関を受診したところ血小板5.6万と減少を認めた。翌日からつじつまの合わない言動が出現したため入院となった。意識レベルはJCS I-2。体温37.9℃。脈拍76/分、整。血圧156/96mmHg。眼瞼結膜は貧血様で、眼球結膜に軽度黄染を認める。胸骨右縁第2肋間を最強点とするLevine 2/6の収縮期駆出性雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部の診察で異常を認めない。尿所見:蛋白2+、潜血3+。血液所見:赤血球230万、Hb 6.1g/dL、Ht 26%、白血球9,700、血小板4.7万、PT-INR 1.1(0.9~1.1)、APTT 26.1秒(基準対照32.2)、FDP 9μg/mL(基準10以下)。血液生化学所見:総ビリルビン2.4mg/dL、直接ビリルビン0.5mg/dL、AST 50U/L、ALT 40U/L、LD 1,150U/L(基準120~245)、尿素窒素70mg/dL、クレアチニン2.5mg/dL。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本を別に示す。

治療として適切なのはどれか。

抗菌薬投与
ヘパリン投与
血漿交換療法
血小板製剤輸血
トロンボポエチン受容体作動薬の投与

解答: c

116A37の解説

【プロセス】
①血小板減少(血小板4.7万)
②精神症状が出現(JCS I-2)
③眼瞼結膜は貧血様(Hb 6.1g/dL)
④眼球結膜に軽度黄染(間接ビリルビン上昇)
⑤胸骨右縁第2肋間を最強点とする収縮期駆出性雑音
⑥尿蛋白2+、尿潜血3+
⑦尿素窒素・クレアチニン上昇
⑧末梢血塗抹May-Giemsa染色標本にて破砕赤血球
☞いずれも典型的なキーワードが揃っており、血栓性血小板減少性紫斑病〈TTP〉を想起するのは難くない。血栓形成により血小板が消費され(①)、血管内で赤血球が崩壊(⑧)、これにより貧血(③)とその代償(⑤)、さらには溶血による間接ビリルビン上昇と黄疸(④)がみられている。TTPでは精神神経症状(②)と腎症状(⑥⑦)もみられることを確認しておこう。

【選択肢考察】
a 細菌感染症ではないため、無効。
b 同じく破砕赤血球がみられる播種性血管内凝固〈DIC〉に用いられる。
c 正しい。TTPの第一選択となる治療である。
d TTPに対して血小板輸血は★禁忌★。
e 再生不良性貧血〈AA〉や免疫性血小板減少性紫斑病〈ITP〉の治療である。

正答率:95%

テーマ:血栓性血小板減少性紫斑病〈TTP〉の治療

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