116A34

出生当日の新生児。在胎40週、体重3,020g、Apgarスコア8点(1分)、9点(5分)で出生。助産師が外性器の特徴に気づき医師に報告した。外性器の外観写真を別に示す。鼠径部に腫瘤を触れない。

両親への説明として適切なのはどれか。

「外性器が未成熟ですぐには性別を確認できない状態です」
「約1年の成長をみながら性別を確定していきます」
「これから確認をしますがおそらく女児です」
「染色体検査を行えば性別を確定できます」
「半陰陽といわれている状態です」

解答: a

116A34の解説

【プロセス】
①出生当日の新生児
②外性器の外観写真は陰茎とも陰核ともはっきり区別が困難(性別不明性器)
☞①②より先天性副腎皮質過形成症が疑われる。

【選択肢考察】
a 正しい。男性とも女性とも現時点では断定できない。非の打ち所がない説明であり、出題者の意図した正解肢だと思われる。が、本選択肢を選べた学生は20%弱。そのため、合格発表のタイミングで採点除外問題となった。
b 先天性副腎皮質過形成症であった場合、糖質・硬質コルチコイド作用不足が生命の危機に直結する恐れがある。約1年の経過観察をする猶予はない。ただちに精査すべきだ。
c 男児とも女児とも現時点ではわからない。安易な発言は慎むべきだ。なお、国試テクニックの1つに「相反する選択肢はいずれかが正解になりやすい」というものがある(詳細はmedu4講座「裏技・テクニック特講」を参照)。本選択肢は明らかな誤りであるが、逆に言えば「性別を明言せず保留にする」という選択肢が正解の可能性が高く、この観点からも「外性器が未成熟ですぐには性別を確認できない状態です」という無難な発言が出題者の意図した正解として最も考えやすい。
d 性別には性染色体や性器といった生物学的に決定されるもののほか、社会的・心理的要因の関与するジェンダーなど複数の定義がある。性染色体だけで一義的に性別を決定することはできない。
e かつて用いられた「半陰陽」という用語は差別的表現に該当する。ゆえに現在使用するのは控えるべきである(国試でも99回を最後に本問出題まで「半陰陽」という用語は使用がなかった;「半陰陽」という用語が使われかつそれが正解になったのは97回が最後)。

正答率:19%

テーマ:先天性副腎皮質過形成症の両親への説明

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし