116A33

73歳の男性。歩行時の左下肢痛を主訴に来院した。2か月前から400m程度の歩行で左ふくらはぎに痛みが出現し、立ち止まって休憩すると消失していた。最近200m程度で症状を認めるため来院した。43歳から糖尿病に対して定期的な投薬治療が行われている。7年前に狭心症に対して冠動脈内ステント留置術が行われており、5年前から透析治療を受けている。喫煙は20歳から現在まで20本/日、飲酒は機会飲酒。意識は清明。身長169cm、体重57kg。体温35.9℃。脈拍84/分、整。血圧158/92mmHg。呼吸数20/分。SpO2 95%(room air)。足関節上腕血圧比〈ABI〉は右側で0.91、左側で0.65であった。

研修医と指導医の会話を示す。

指導医:「この患者さんの症状をどう表現しますか」

研修医:「①間欠性跛行だと思います」

指導医:「背景にある病態として、どのようなものがありますか」

研修医:「②神経性のものとして腰部脊柱管狭窄症などがあり③血管性のものとして浅大腿動脈の狭窄などがあります

指導医:「この患者さんのABI値からは何が疑われますか」

研修医:「④閉塞性動脈硬化症の可能性が高いと思います」

指導医:「今後、どのような検査を行いますか」

研修医:「⑤ガドリニウム造影MRI検査を予定します

下線部のうち誤っているのはどれか。

解答: e

116A33の解説

【プロセス】
①高齢男性
②2か月前から間欠性跛行
③43歳から糖尿病・7年前に狭心症・5年前から透析治療・喫煙者
④足関節上腕血圧比〈ABI〉は右側で0.91、左側で0.65
☞③より血管ダメージの大きい患者背景が予想される。④では右に比べ、左が優位に低い。①②と合わせて閉塞性動脈硬化症〈ASO〉と考えられる。

【選択肢考察】
a 「200〜400m程度の歩行で左ふくらはぎに痛みが出現し、立ち止まって休憩すると消失」という記載から間欠性跛行が考えやすい。
b 間欠性跛行をみた際には血管性と神経性を鑑別する必要がある。神経性の代表例に腰部脊柱管狭窄症がある。
c 間欠性跛行をみた際には血管性と神経性を鑑別する必要がある。血管性の代表例に浅大腿動脈狭窄による閉塞性動脈硬化症〈ASO〉がある。
d 上記の通り、ASOの可能性が高い。
e 誤り。腎機能低下が疑われる患者に対してガドリニウム造影MRIは★禁忌★(腎性全身性線維症〈NSF〉のリスク)。

正答率:95%

テーマ:閉塞性動脈硬化症〈ASO〉患者に関する研修医と指導医の対話

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