116A32

生後10時間の男児。在胎39週、体重2,960g、Apgarスコア7点(1分)、8点(5分)で出生した。助産師がチアノーゼに気づき医師に報告した。出生時にはチアノーゼに気づかなかったという。体温36.9℃。心拍数128/分。呼吸数38/分。SpO2(room air)76%(上肢)、75%(下肢)。高濃度酸素を投与してもチアノーゼは持続した。心エコー検査では4つの心腔が確認されるが、右心室から肺動脈への駆出血流は確認できない。動脈管から肺動脈に流入している少量の血流を認めた。

この児に適切な初期対応はどれか。

利尿薬の投与
ドパミンの投与
ジゴキシンの投与
高濃度酸素の継続
プロスタグランディンE1の投与

解答: e

116A32の解説

【プロセス】
①生後10時間の男児
②チアノーゼに気づかれる(出生直後にはなかった)
③高濃度酸素を投与してもチアノーゼは持続
④右心室から肺動脈への駆出血流は確認できない
⑤動脈管から肺動脈に流入している少量の血流
☞①②より先天性の呼吸器ないし心疾患が疑われる。③から呼吸器疾患は除外(See 100F3)し、先天性心疾患を疑う。④⑤より肺動脈閉鎖症〈PA〉の可能性が考えやすい。

【選択肢考察】
a うっ血の強い心不全にて考慮される。本症例では優先順位が低い。
b 心収縮力が低下している場合に有効。PAでは血流ルートが問題となっており、心収縮力自体は現状保たれていることが予想される。
c 心収縮力が低下している状態、または頻脈が問題となる場合に有効。
d 動脈管の閉鎖や新生児網膜症といった副作用が予想されるため、★禁忌★。
e 正しい。PAでは動脈管の開存が命綱となっている。これが閉鎖しないよう、プロスタグランディンE1の投与が初期対応として有効となる。

正答率:98%

テーマ:肺動脈閉鎖症〈PA〉への初期対応

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