116A23

38歳の男性。1週間前から皮下出血が出現したため自宅近くの診療所を受診したところ、白血球減少と血小板減少を指摘され精査のため紹介受診した。体温36.6℃。脈拍92/分、整。血圧118/76mmHg。眼瞼結膜は貧血様で眼球結膜に黄染を認めない。心音と呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。両下肢に紫斑を認める。血液所見:赤血球381万、Hb 12.6g/dL、Ht 36%、白血球2,400(芽球9%、前骨髄球60%、分葉核好中球12%、リンパ球19%)、血小板1.6万。血液生化学所見:総蛋白7.7g/dL、アルブミン4.8g/dL、総ビリルビン1.1mg/dL、直接ビリルビン0.1mg/dL、AST 29U/L、ALT 30U/L、LD 365U/L(基準120~245)、ALP 110U/L(基準38~113)、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン1.1mg/dL、尿酸9.3mg/dL、Na 143mEq/L、K 3.9mEq/L、Cl 107mEq/L、Ca 9.3mg/dL。CRP 0.3mg/dL。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本写真を別に示す。

この患者に投与すべき薬剤はどれか。

イマチニブ
ゲフィチニブ
シクロスポリン
ブレオマイシン
全トランス型レチノイン酸

解答: e

116A23の解説

【プロセス】
①1週間前から皮下出血が出現
②白血球減少と血小板減少
③両下肢に紫斑
④白血球分画にて芽球9%、前骨髄球60%
⑤骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本写真にてazur顆粒を豊富に含む細胞とAuer小体・faggot細胞の確認
☞②による出血傾向で①③は説明がつく。④で芽球が増えていることから白血病を疑うが、前骨髄球が60%と著増していること、⑤から急性前骨髄球性白血病〈APL〉(M3)の診断となる。

【選択肢考察】
a 慢性骨髄性白血病〈CML〉ないし一部の急性リンパ性白血病〈ALL〉の治療。
b EGFRチロシンキナーゼ阻害薬。一部の肺癌に用いられる。
c 免疫抑制薬。再生不良性貧血などに用いられる。
d Hodgkinリンパ腫のABVD療法におけるBに該当する。
e 正しい。APLに対しては全トランス型レチノイン酸〈ATRA〉療法が有効。

正答率:99%

テーマ:急性前骨髄球性白血病〈APL〉の治療薬

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