116A22

22歳の男性。健診で腎機能低下を指摘され心配になり来院した。母親と叔父が透析治療を受けている。血液生化学所見:尿素窒素28mg/dL、クレアチニン1.5mg/dL。腹部MRI(脂肪抑制T2強調冠状断像)を別に示す。

この疾患で誤っているのはどれか。

肝嚢胞の合併が多い。
常染色体優性型である。
新生児期から発症する。
脳動脈瘤の発生頻度が高い。
治療薬にバソプレシンV2受容体拮抗薬がある。

解答: c

116A22の解説

【プロセス】
①22歳の男性
②健診で腎機能低下を指摘
③母親と叔父が透析治療
④尿素窒素28mg/dL、クレアチニン1.5mg/dL
⑤腹部MRIにて両側性の腎腫大と内部に多発する嚢胞が確認可能
☞①③より遺伝性疾患を考える。②は④で裏付けられ、たしかに腎機能低下はありそうだ。⑤より多発性嚢胞腎〈PKD〉の診断。常染色体劣性のものは小児期からすでにみられるはずであるため、本症例は常染色体優性のADPKDと考えられる。

【選択肢考察】
a 肝や膵といった他臓器の嚢胞を合併しやすい。
b 上記の通り、常染色体優性遺伝〈AD〉と考えられる。
c 誤り。新生児期から発症するのは常染色体劣性のARPKD。
d 脳動脈瘤の発生頻度が高く、留意すべき合併症としてくも膜下出血〈SAH〉が知られる。
e 進行抑制にバソプレシン V2 受容体拮抗薬(トルバプタン)が有効である。

正答率:95%

テーマ:多発性嚢胞腎〈PKD〉について

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