116A20

64歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。4日前に左胸痛と息切れが出現し、次第に増悪してきたため受診した。体温36.2℃。脈拍100/分、整。血圧120/80mmHg。呼吸数20/分。SpO2 92%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸部リンパ節を触知しない。左胸部に呼吸音を聴取しない。血液所見:赤血球420万、Hb 13.0g/dL、Ht 37%、白血球4,400、血小板21万。CRP 0.4mg/dL。来院時の胸部エックス線写真(A)を別に示す。入院後、胸腔ドレーンを挿入したところ、直後から咳嗽と泡沫状の喀痰が出現した。この時点の胸部エックス線写真(B)を別に示す。

胸腔ドレーン挿入後の病態として正しいのはどれか。

肺炎
肺水腫
無気肺
肺胞出血
うっ血性心不全

解答: b

116A20の解説

【プロセス】
①4日前から左胸痛と息切れ
②来院時の胸部エックス線写真(A)では左肺が虚脱(左気胸)
③胸腔ドレーンを挿入した直後から咳嗽と泡沫状の喀痰とが出現
④胸部エックス線写真(B)では左肺の透過性が低下しており、肺水腫を疑う
☞②に対する胸腔ドレナージによって生じた再膨張性肺水腫。①③④も矛盾しない。

【選択肢考察】
a 経過が急性であり可能性は低い。
b 正しい。急激な肺の再膨張に伴う血管透過性の亢進により肺水腫をきたしたのだろう。
c 無気肺であれば区域性に透過性低下を来すことが多い。
d 肺胞出血であれば、喀血を認めるはず。
e うっ血性心不全の場合は両側性に肺水腫の所見を認めるはず。

正答率:97%

テーマ:再膨張性肺水腫の診断

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