116A19

62歳の女性。息切れと全身倦怠感を主訴に来院した。7日前に発作性心房細動に対してカテーテルアブレーションが施行されており、3日前に退院していた。退院翌日に息切れと全身倦怠感が出現し、症状が徐々に増悪するため受診した。意識は清明。体温36.2℃。脈拍112/分、整。血圧88/72mmHg。血圧は吸気時に収縮期血圧が18mmHg低下する。呼吸数18/分。SpO2 95%(room air)。呼吸音に異常を認めない。心音は微弱だが雑音は聴取しない。頸静脈は怒張している。血液所見:赤血球462万、Hb 13.2g/dL、Ht 39%、白血球9,700、血小板39万。血液生化学所見:尿素窒素44mg/dL、クレアチニン1.7mg/dL、Na 141mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 110mEq/L。

最も考えられる病態はどれか。

後腹膜血腫
心室中隔穿孔
肺血栓塞栓症
心タンポナーデ
完全房室ブロック

解答: d

116A19の解説

【プロセス】
①7日前に発作性心房細動に対してカテーテルアブレーション
②退院翌日に息切れと全身倦怠感が出現し、症状が徐々に増悪
③血圧88/72mmHg
④血圧は吸気時に収縮期血圧が18mmHg低下
⑤心音は微弱
⑥頸静脈は怒張
☞①②よりカテーテルアブレーションの合併症を考える。③より血圧低下と脈圧減少が読み取れる。④は奇脈と呼ばれる現象、⑤は心臓周囲の液体貯留を示唆する。⑥は右心不全徴候であり、これが吸気時に増悪した場合を特にKussmaul徴候と呼ぶ。カテーテルアブレーションの合併症として、心タンポナーデをきたした可能性が高い。

【選択肢考察】
a 赤血球462万、Hb 13.2g/dL、Ht 39%と保たれており、大量出血による血圧低下は考えにくい。
b 心雑音は聴取しておらず、否定的。
c 肺血栓塞栓症の存在下では血中酸素飽和度が低下し、過換気となる。SpO2 95%(room air)、呼吸数18/分は合致しない。
d 正しい。上記の通り。
e 脈拍112/分が説明つかない。

正答率:98%

テーマ:心タンポナーデ(医原性)の診断

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