115F69

次の文を読み、以下の問いに答えよ。
69歳の男性。物忘れを心配した家族に伴われて来院した。
現病歴:約1年半前から予定を忘れてしまうことが多くなった。約1年前から、日中、呼びかけへの応答が鈍くなる時間帯があることに気付かれるようになった。半年前から、時折、知らない子どもが隣の部屋で遊んでいると訴えるようになった。これらの症状が徐々に悪化するため来院した。
既往歴:20歳時に急性虫垂炎で手術。
生活歴:喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
家族歴:特記すべきことはない。
現 症:意識は清明。意思疎通は可能である。礼節は保たれている。日付の失見当識を認める。失語、失行は認めない。身長170cm、体重60kg。体温36.4℃。脈拍92/分、整。血圧140/78mmHg。長谷川式簡易知能評価スケールは20点(30点満点)。脳神経系に異常を認めない。四肢筋力は正常だが、四肢に軽度の歯車様筋強剛を認める。歩行時の姿勢は前傾しており、歩幅はやや小刻みである。腱反射は正常。運動失調、感覚障害を認めない。
検査所見:尿所見:蛋白(−)、糖(−)。血液所見:赤血球437万、Hb 13.5g/dL、Ht 42%、白血球6,500、血小板22万。血液生化学所見:総蛋白6.7g/dL、アルブミン4.6g/dL、総ビリルビン1.3mg/dL、AST 21U/L、ALT 17U/L、アンモニア45μg/dL(基準18~48)、尿素窒素15mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、尿酸7.2mg/dL、血糖98mg/dL、HbA1c 5.3%(基準4.6~6.2)、Na 142mEq/L、K 4.1mEq/L、Cl 102mEq/L。頭部MRIでは軽度の大脳萎縮がみられる。脳血流SPECTを別に示す。

診断に有用な検査はどれか

脊椎MRI
脳脊髄液検査
頸部超音波検査
末梢神経伝導検査
MIBG心筋シンチグラフィ

解答: e

115F69の解説

【プロセス】
①高齢男性
②物忘れ
③時間帯による症状の動揺
④幻視
⑤Parkinsonism(歯車様筋強剛・姿勢反射障害)
⑥脳血流SPECTにて後頭葉の血流低下
キーワードが盛りだくさんな症例で、Lewy小体型認知症〈DLB〉の診断はつけやすい。

【選択肢考察】
a 椎体や脊髄に障害はみられない。
b 本疾患ではα-シヌクレインなど髄液中のバイオマーカーが変化することが知られている。しかし診断のために広く臨床の現場で行われているわけではないため、正解にはならない。
c 頸動脈狭窄による一過性脳虚血発作〈TIA〉などに有用な検査。
d ニューロパチーに有用な検査。
e 正しい。自律神経障害により、取り込みが低下する。この事実が診断に用いられている。

正答率:98%

テーマ:【長文1/3】Lewy小体型認知症〈DLB〉の診断に有用な検査

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