115F44

85歳の女性。軽度の認知症(自立度I)と問題行動(夜間せん妄)について要介護1の認定を受けている。訪問した介護福祉士が、処方薬(降圧薬)が不足していることに気付き、付き添って受診した。身長153cm、体重38kg。体温36.0℃。脈拍84/分、整。血圧162/88mmHg。呼吸数16/分。意識清明で問いかけには答えるが、口数が少なく、周囲を気にしておびえている様子がうかがわれる。眼瞼結膜に軽度貧血を認める。残存歯が3本のみで口腔内の衛生は不良である。皮膚はツルゴールがやや低下しており、腹部に湿疹を認め、掻破痕が著しい。四肢に外傷はないが、背部・臀部に新旧混在した複数の皮下出血斑や打撲痕を認める。介護福祉士によると、息子と2人暮らしで、息子は昼間外出していることが多く、不定期に就労しているらしいという。

まずとるべき対応はどれか。

ケアマネジャーに処方管理を依頼する。
歯科衛生士を紹介受診させる。
次回受診時に息子を同伴するように伝え、処方して帰宅させる。
直ちに最寄りの警察に保護入所を依頼する。
地域包括支援センターに虐待の可能性について相談する。

解答: e

115F44の解説

【プロセス】
①高齢女性
②BMI 16.2(痩せ・食事を与えられていない可能性)
③口数が少ない
④周囲を気にしておびえている様子
⑤背部・臀部に新旧混在した複数の皮下出血斑や打撲痕
高齢者虐待が疑われる。

【選択肢考察】
a 処方薬が不足したとのことで、処方管理が徹底されていない可能性が高い。しかしこれは高齢者虐待への対応と比べれば優先順位は低く、そもそもケアマネジャーに依頼すべき内容でもない(医師や看護師、薬剤師が行う)。
b 残存歯が3本のみで口腔内の衛生が不良であることから必要な対応ではある。が、高齢者虐待への対応と比べれば優先順位は低い。
c 本文からは息子が虐待を行っていると考えられる。この対応は解決策にならない。
d 事件性が明らかでない現時点では警察へ通報することはしない。
e 正しい。まずは高齢者虐待の主たる相談先である地域包括支援センターに連絡する。

正答率:99%

テーマ:高齢者虐待を疑った際にまずとるべき対応

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