115E43

次の文を読み、以下の問いに答えよ。
84歳男性。発熱と左側胸部痛を主訴に来院した。
現病歴:5日前から咽頭痛と37℃前後の微熱があり、市販の感冒薬を内服したが発熱は持続していた。2日前から徐々に左側胸部の持続性の疼痛が出現した。痛みは呼吸に伴い増悪する。今朝になって、左側胸部痛が強くなっており心配になって受診した。冷汗や意識消失はない。
既往歴:徐脈性心房細動、II度の僧帽弁閉鎖不全、心不全、高血圧症で、抗血栓薬とアンジオテンシン変換酵素〈ACE〉阻害薬、利尿薬を内服中である。5年前に徐脈性心房細動に対し、ペースメーカー植込み術を受けた。
家族歴:父が85歳時に脳出血で死亡。母が80歳時に胃癌で死亡。
現 症:意識は清明。身長158cm、体重56kg。体温37.6℃。脈拍60/分、整。血圧120/80mmHg。呼吸数18/分。SpO2 98%(room air)。
左下胸部に、打診で濁音、聴診で呼吸音の減弱および胸膜摩擦音を認める。胸部に圧痛を認めない。心音は、III音と心尖部を最強とするLevine 3/6の全収縮期雑音を聴取する。
心電図(A)及び胸部エックス線写真(B)を別に示す。

心電図所見として、正しいのはどれか。

洞調律
心室頻拍
心室ペーシング
完全右脚ブロック
完全房室ブロック

解答: c

115E43の解説

【ポイント】
2連問の1問目として、心電図所見が問われている。症例考察は次問にゆずるとし、ここでは心電図の解説をする。
心拍数は約60/分。全誘導で基線の揺れ(細動波・f波)がみられ、心房細動〈AF〉の存在を考える。V3〜V6にてQRS波の直前に明瞭なスパイク波形がみられ、心室がペーシングされていると分かる。

【選択肢考察】
a ペーシング波形であり、洞結節由来の波形(洞調律)とは言えない。
b 心拍数は約60/分であり、頻拍ではない。
c 正しい。上記の通り。
d V1誘導でrSR'波形が認められるはず。
e 心室ペーシングによる波形であり、P波は指摘できない。そのため、房室ブロックの判断はできない。

正答率:81%

テーマ:【長文1/2】心電図所見の読み取り

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