115E28

53歳の男性。術後に意識障害を呈した。10年前に糖尿病と診断され、経口血糖降下薬を内服していた。食道癌に対する外科手術を受け、術後はインスリンの経静脈投与を開始された。術後経過は安定していたが、術後2日目に意識障害が出現し、簡易血糖測定器で血糖値32mg/dLを示した。主治医からのインスリン投与指示を確認すると、維持輸液用の点滴バッグ内に速効型インスリン10単位を混注することとなっていたが、実際には担当した病棟医が100単位を混注していた。主治医が50%ブドウ糖の静注投与を行い、患者の意識は回復し、血糖値も100mg/dLへ上昇した。

主治医から担当した病棟医への言葉として適切なのはどれか。

「リスクマネジャーヘの報告が必要です」
「あなたの起こしたことなので、私には関係がありません」
「家族に余計な心配をかけたくないので、連絡は控えておきましょう」
「診療録には、当初の指示どおり10単位混注したと記載してください」
「患者さんに聞かれたら意識障害の原因は不明と答えることにしましょう」

解答: a

115E28の解説

【プロセス】
①意識障害
②血糖値32mg/dL
③指示では速効型インスリン10単位
④実際は100単位を混注
⑤ブドウ糖静注により患者の意識は回復
③④から医療ミスによって、①②の低血糖性意識障害をきたしたものと考えられる。⑤より命に別状はなかった模様だが、しっかりとした対応が求められる局面と言える。

【選択肢考察】
a 正しい。各部門のヒヤリ・ハット報告等を把握し、再発防止策の検討、周知徹底を行う役割を担うリスクマネジャーが院内に設置されている。リスクマネジャーへ報告するとともに、院内の医療安全管理委員会へ届け出る。
b チーム医療を行うにあたり、あまりにも無責任な発言である。また、将来的に似たようなシチュエーションで自身も医療ミスを起こす可能性もゼロとは言えない。今回の件を教訓とし、日常診療に活かしていく姿勢が必要だ。
c 隠蔽行為にあたる恐れがある。家族にも連絡をすべきだ。
d 診療録への虚偽記載であり、★禁忌★。
e 患者への虚偽説明であり、★禁忌★。

正答率:99%

テーマ:アクシデント発生後の対応

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