115D69

50歳の男性。健康診断で異常を指摘されたため来院した。特に自覚症状はない。2年前の健康診断で肝機能異常があったが、詳しい検査は受けず、自己判断で飲酒量を減らした。現在は350mLの缶ビールを週に1~2本飲んでいる。25歳から1日20本喫煙しており、6か月前から加熱式タバコに替えている。母親が肝癌で死亡している。既往歴に特記すべきことはない。自宅でインターネットを介した仕事をしており、あまり外には出ないという。身長171cm、体重80kg。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。健康診断時の血液生化学所見:総ビリルビン0.7mg/dL、AST 90U/L、ALT 85U/L、γ-GT 60U/L(基準8~50)、空腹時血糖98mg/dL、HbA1c 5.6%(基準4.6~6.2)、トリグリセリド160mg/dL、HDLコレステロール36mg/dL、LDLコレステロール208mg/dL。腹部超音波検査で脂肪肝を認めた。

適切な説明はどれか。2つ選べ

「腹部のCT検査をしましょう」
「運動と食事を検討しましょう」
「肝炎ウイルスの検査をしましょう」
「加熱式タバコはこのままでいいです」
「お酒は完全にやめるほうがよいでしょう」

解答: b,c

115D69の解説

【プロセス】
①中年男性
②350mLの缶ビールを週に1~2本(多くはない)
③母親が肝癌で死亡
④あまり外には出ない
⑤BMI 27(やや肥満)
⑥AST, ALT, γ-GT軽度上昇
⑦TG, HDL-C, LDL-C異常値
⑧腹部超音波検査で脂肪肝
①④⑤⑥⑦より生活習慣病の背景がありそうだ。②⑧からは非アルコール性脂肪性肝疾患〈NAFLD〉が考えやすい。しかしながら③から肝炎ウイルスが垂直感染している可能性も視野に入れて検査を行う運びとなる。

【選択肢考察】
a すでに腹部超音波検査で脂肪肝と判断されており、現状CT検査にてこれ以上確認したい情報はない。
b 正しい。生活習慣病の背景を改善することがNAFLD治療の原則となる。
c 正しい。上記の通り。
d 加熱式タバコにもタールなど健康を害する物質は含まれている。禁煙を勧めるべきだ。
e 現存の病態にアルコールは影響を与えていない可能性が高い。ゆえに完全にアルコールを断つ必要はない。

正答率:31%

テーマ:非アルコール性脂肪性肝疾患〈NAFLD〉患者への説明

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