115D67

68歳の女性。胸痛を主訴に来院した。15年前から糖尿病、高血圧症で通院加療されている。本日、朝6時に強い胸痛と気分不快が出現したため家族とともに受診した。意識は清明。身長160cm、体重80kg。脈拍118/分、整。血圧86/50mmHg。呼吸数24/分。SpO2 90%(room air)。胸骨左縁第4肋間に収縮期雑音を聴取する。血液所見:赤血球521万、Hb 15.6g/dL、白血球12,200、血小板16万。血液生化学所見:AST 560U/L、ALT 164U/L、LD 826U/L(基準120~245)、CK 1,564U/L(基準30~140)、尿素窒素27mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL。CRP 0.6mg/dL。心電図(A)及び心エコー図(B)を別に示す。

診断はどれか。2つ選べ

乳頭筋断裂
急性心筋梗塞
心室中隔穿孔
心タンポナーデ
発作性上室頻拍

解答: b,c

115D67の解説

【プロセス】
①高齢女性
②糖尿病と高血圧症の背景
③朝6時に強い胸痛と気分不快が出現
④BMI 31
⑤血圧86/50mmHg
⑥胸骨左縁第4肋間に収縮期雑音
⑦AST, LD, CK高値
⑧心電図にてV1〜V4のST上昇・V1〜V3のR波減高と異常Q波
⑨心エコー図にて左室→右室へのシャント血流
①②④の背景下に③⑦⑧がみられており、前壁の急性心筋梗塞〈AMI〉と考える。⑥⑨より心室中隔穿孔を合併しており、心原性ショック(⑤)を呈している。

【選択肢考察】
a 下壁の虚血によりみられることが多い。また、僧帽弁閉鎖不全症〈MR〉様の心雑音やエコー図がみられる。
b 正しい。上記の通り。
c 正しい。上記の通り。
d 心電図では低電位差をみる。また、心エコー図では心嚢液の貯留がみられる。
e 提示された心電図所見は正常洞調律であり、発作性上室性頻拍〈PSVT〉とは異なる。

正答率:93%

テーマ:急性心筋梗塞〈AMI〉と心室中隔穿孔の診断

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