115D63

32歳の女性。発熱と下腿浮腫を主訴に来院した。半年前から日光過敏を、1か月前から下腿浮腫を自覚していた。2週前から37℃台の発熱を認めるようになり、下腿浮腫も増悪したため受診した。体温37.2℃。脈拍76/分、整。血圧118/74mmHg。呼吸数16/分。頬部に紅斑を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。両側下腿浮腫を認める。尿所見:蛋白4+、潜血3+、沈渣に赤血球10~20/HPF、白血球10~20/HPF、赤血球円柱と顆粒円柱とを認める。尿蛋白4.5g/日。血液所見:赤血球402万、Hb 12.0g/dL、Ht 38%、白血球3,100(桿状核好中球25%、分葉核好中球47%、好酸球1%、好塩基球0%、単球9%、リンパ球18%)、血小板15万。血液生化学所見:総蛋白4.8g/dL、アルブミン2.1g/dL、尿素窒素31mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、トリグリセリド148mg/dL、LDLコレステロール208mg/dL。免疫血清学所見:CRP 0.2mg/dL、抗核抗体1,280倍(基準20以下)、CH50 18U/mL(基準30~40)、C3 35mg/dL(基準52~112)、C4 6mg/dL(基準16~51)。腎生検のPAS染色標本(A)及び蛍光抗体C1q染色標本(B)を別に示す。

最も考えられるのはどれか。

ループス腎炎
急性糸球体腎炎
顕微鏡的多発血管炎
膜性増殖性糸球体腎炎
微小変化型ネフローゼ症候群

解答: a

115D63の解説

【プロセス】
①32歳の女性
②発熱
③日光過敏
④頬部紅斑(おそらく蝶形紅斑)
⑤両側下腿浮腫
⑥尿蛋白4+・潜血3+
⑦白血球数がやや低下・赤血球数と血小板数も正常値下限程度(汎血球減少傾向)
⑧アルブミン2.1g/dL
⑨LDLコレステロール208mg/dL
⑩抗核抗体1,280倍
⑪低補体血症
⑫腎生検にてメサンギウム基質の増加
⑬蛍光抗体染色にて係蹄壁とメサンギウム領域に沿ったC1qの沈着
①②③④⑦⑩⑪より全身性エリテマトーデス〈SLE〉を考える。⑤⑥⑧⑨よりネフローゼ症候群といえる。⑫⑬と合わせ、ループス腎炎の診断。

【選択肢考察】
a 正しい。上記の通り。
b 血尿メインの腎炎をみる。
c 半月体形成性腎炎をみる。
d 腎生検にて分葉状の所見をみる。また蛍光抗体染色にてC1qではなく、IgGとC3の沈着をみる。
e 一般に血尿はみない。また補体価低下も認めない。光顕像に明らかな異常もみられない。

正答率:98%

テーマ:ループス腎炎の診断

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