115D61

64歳の女性。蛋白尿を指摘されて来院した。昨年の特定健康診査でも蛋白尿を指摘されたが、自宅近くの診療所で経過観察を指示されていた。今年の特定健康診査でも蛋白尿を指摘されて受診した。既往歴はない。体調不良はなく、就業しており、自宅で時々測定している血圧は120/70mmHg前後である。体重は増減なく安定しており、浮腫を認めない。尿所見:比重1.015、pH 6.0、蛋白3+、糖(-)、潜血(-)、随時尿の尿蛋白/Cr比は2.5g/gCr(基準0.15未満)。尿沈渣に赤血球1~4/HPF、白血球1~4/HPF、硝子円柱1~4/HPF、顆粒円柱と幅広円柱を少数認める。血液生化学所見:クレアチニン0.7mg/dL、eGFR 64mL/分/1.73m2。腹部超音波検査で右腎に2cm大の嚢胞を2個認めた。

最も考えられるのはどれか。

IgA腎症
膜性腎症
多発性嚢胞腎
微小変化型ネフローゼ症候群
特発性半月体形成性糸球体腎炎

解答: b

115D61の解説

【プロセス】
①中高年女性
②尿蛋白3+・潜血陰性
③eGFR 64mL/分/1.73m2
④腹部超音波検査で右腎に2cm大の嚢胞を2個
アルブミンの記載はなくネフローゼ症候群とは言えないが、②より蛋白尿メインの腎炎が考えやすい。③は慢性腎臓病の重症度分類で言えばG2に該当するが、年齢も考えるに明らかな腎機能低下とは言い難い。④は腎嚢胞であり、病的意義はない。与えられた情報だけからの確定診断は困難なため、選択肢を消去していくアプローチが求められる。

【選択肢考察】
a 血尿メインの腎炎をみる。
b 正しい。中高年者の蛋白尿メインの腎炎で最も考えやすい。
c ④は単純性の腎嚢胞と考えられる。多発性嚢胞腎ではない。
d 小児〜若年者に多く、急性発症する。
e 血尿を伴うことが多い。

正答率:30%

テーマ:膜性腎症の診断

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