115D50

78歳の女性。発熱、悪寒および上腹部痛を主訴に来院した。本日夕食後に右上腹部痛と悪寒を自覚し受診した。身長155cm、体重45kg。体温38.4℃。脈拍104/分、整。血圧110/58mmHg。呼吸数18/分。SpO2 96%(room air)。眼球結膜に黄染を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。右季肋部に圧痛を伴う腫瘤を触知する。尿所見:潜血(-)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球335万、Hb 10.2g/dL、Ht 33%、白血球12,800、血小板12万。血液生化学所見:総蛋白6.2g/dL、アルブミン2.9g/dL、総ビリルビン4.6mg/dL、直接ビリルビン3.8mg/dL、AST 346U/L、ALT 434U/L、LD 568U/L(基準120~245)、ALP 557U/L(基準115~359)、γ-GT 238U/L(基準8~50)、アミラーゼ278U/L(基準37~160)、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、血糖146mg/dL、Na 135mEq/L、K 3.6mEq/L、Cl 98mEq/L。CRP 12mg/dL。

次に行う検査はどれか。

腹部単純CT
腹部超音波検査
超音波内視鏡検査
腹腔動脈造影検査
磁気共鳴胆管膵管撮影〈MRCP〉

解答: b

115D50の解説

【プロセス】
①高齢女性
②夕食後の発熱・悪寒・上腹部痛
③眼球結膜に黄染
④右季肋部に圧痛を伴う腫瘤
⑤白血球とCRP上昇
⑥直接ビリルビン優位の上昇
⑦肝胆道系酵素のみならずアミラーゼも上昇
①②③⑤からは胆道の炎症が疑われる。④からは胆嚢が腫大している可能性が高く、その場合は急性胆嚢炎だ。しかしながら⑦は膵の障害を合併していることを示唆し、もしかしたら落下した胆石がVater乳頭部に詰まっている可能性もある。胆嚢の炎症のみで総胆管の閉塞がなければ本来は黄疸はみないはずであり、③⑥からは急性胆管炎の合併も想定される。すなわち、急性胆嚢炎、急性胆管炎、膵への影響、これらが複数ミックスした病態と考えられる。

【選択肢考察】
a 悪くはないが、被曝する検査であること、リアルタイムでその場の動きを観察できないこと、エックス線でみえにくい胆石が存在すること、などから超音波検査に軍配が上がる。
b 正しい。概要に示したような病態の鑑別・精査に有用である。
c 特定範囲の質的評価が可能であるも、概要に示したような範囲にわたるダイナミックな変化を追うには適していない。内視鏡の挿入も苦痛を伴い、超音波検査ほど簡便にはできない。
d 肝細胞癌などに有効。
e 悪くはないが、簡便さに欠けること、リアルタイムでその場の動きを観察できないこと、などから超音波検査に軍配が上がる。

正答率:97%

テーマ:急性胆管炎の検査

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