115D49

26歳の男性。下痢と粘血便を主訴に来院した。3か月前から下痢を自覚していた。2週前から1日4~5回の粘血便が出現したため受診した。海外渡航歴はない。意識は清明。身長169cm、体重52kg。体温37.1℃。脈拍76/分、整。血圧108/64mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球348万、Hb 12.5g/dL、Ht 36%、白血球7,400、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.8g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 25U/L、ALT 20U/L、LD 249U/L(基準120~245)、ALP 280U/L(基準115~359)、γ-GT 37U/L(基準8~50)、アミラーゼ79U/L(基準37~160)、尿素窒素15mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL、血糖97mg/dL、総コレステロール179mg/dL、トリグリセリド120mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.1mEq/L、Cl 103mEq/L。CRP 1.9mg/dL。直腸の内視鏡像を別に示す。結腸には異常を認めない。

診断はどれか。

直腸癌
Crohn病
虚血性腸炎
潰瘍性大腸炎
過敏性腸症候群

解答: d

115D49の解説

【プロセス】
①若年男性
②下痢と粘血便
③CRP 1.9mg/dL
④直腸内視鏡像にて連続性かつびまん性の発赤とびらん・血管透見の消失
⑤結腸には異常を認めない
①②③からは炎症性腸疾患を想起する。④からCrohn病は否定され、潰瘍性大腸炎〈UC〉が最も考えられる。

【選択肢考察】
a 内視鏡像から癌はみてとれない。
b 内視鏡にて縦走潰瘍や敷石像がみられる。また病変は非連続性である。
c 動脈硬化の背景がある高齢者に好発する。また結腸に好発し、内視鏡では縦走潰瘍がみられる。
d 正しい。上記の通り。
e 機能的疾患であり、粘血便はみない。CRP上昇もない。内視鏡像は正常である。

正答率:91%

テーマ:潰瘍性大腸炎〈UC〉の診断

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