115D37

76歳の女性。背部痛とふらつきを主訴に来院した。3か月前に自宅で転倒した後に背部痛があったという。自宅近くの診療所で腰椎圧迫骨折と診断され、コルセットと鎮痛薬の処方を受けた。その後疼痛は軽減していたが、2週前に背部痛が再発し、1週前から歩行時にふらつくようになった。5年前に乳癌の手術を受けている。身長148cm、体重50kg。歩容は杖使用で不安定、円背があり、胸腰椎移行部に圧痛と叩打痛を認める。上肢の神経診察で異常を認めない。感覚障害を認めない。徒手筋力テストで右腸腰筋3、右大腿四頭筋3、右前脛骨筋3の筋力低下を認めた。胸腰椎エックス線写真を別に示す。

まず行うべき検査はどれか。

骨塩定量
FDG-PET
下肢筋電図
胸腰椎MRI
骨シンチグラフィ

解答: d

115D37の解説

【プロセス】
①76歳の女性
②3か月前に自宅で転倒した後に背部痛・腰椎圧迫骨折
③5年前に乳癌の手術
④歩容は杖使用で不安定・円背・胸腰椎移行部に圧痛と叩打痛
⑤徒手筋力テストで筋力低下
⑥胸腰椎エックス線写真で腰椎の変形(楔状・扁平椎)
①②④⑥からは骨粗鬆症による圧迫骨折が考えやすい。⑤はL1レベルでの脊髄圧迫で説明がつく。問題は③だ。もし本症例が実は癌の椎体転移であったら対応が変わってくる。これを確認する検査を行うのが先決。

【選択肢考察】
a 骨粗鬆症の評価に有用だが、正直、かなりの高確率で骨粗鬆症は存在することが予想できるわけで、あまり現時点で重要な検査とは言えない。
b 癌の全身転移の検索に用いる。今回は椎体を精査したいため、いきなり全身転移の様子をみるのは飛躍がある。
c 下肢の筋力低下が神経性か筋原性か、を確認可能だが、かなりの高確率で神経性と思われ、あまり現時点で重要な検査とは言えない。
d 正しい。圧迫骨折の様子や、もし存在していれば癌の転移を確認することができる。
e 骨転移の様子を評価できるも、今回はまず椎体を精査したいため、いきなり全身の骨の様子をみる必要はない。

正答率:74%

テーマ:乳癌既往のある患者の腰椎圧迫骨折に対してまず行うべき検査

フォーラムへ投稿

関連トピック

なし