115D35

52歳の男性。心電図異常の精査目的で来院した。2週前、初めて受けた健康診断で心電図異常を指摘されたため受診した。毎日、血圧を自己測定しており、収縮期血圧は150〜170mmHg程度で推移している。減塩や体重コントロールなどを自己判断で行っている。母親は22年前に死亡(詳細不明)。父親と妹には健康上の問題はない。喫煙は25本/日を20年間。意識は清明。身長179cm、体重82kg。体温36.0℃。脈拍72/分、整。血圧152/90mmHg。呼吸数14/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。12誘導心電図では、健康診断と同様の異常所見を認めた。心エコー検査を行ったところ、生理検査室から左心室壁厚が20mmと肥厚を認めるとの連絡が入った。

この時点で鑑別すべき疾患に含まれないのはどれか。

Fabry病
肥大型心筋症
たこつぼ心筋症
心アミロイドーシス
高血圧症に伴う心肥大

解答: c

115D35の解説

【プロセス】
①中年男性
②心電図異常を指摘
③高血圧あり
④喫煙歴あり
⑤心エコー検査にて左室壁の肥厚
⑤から考えにくい疾患を選ばせる、という出題者の意図なのだろう。個人的には「心電図異常の精査目的で来院」「12誘導心電図では健康診断と同様の異常所見」と示しておきながら、実際の心電図を示さないのを奇異に感じた。問題として成立させるために心電図所見を示したくなかったのだろうが、実臨床では心電図異常の精査目的で来院した患者はまず心電図所見から入るのが普通であり、ちょっと微妙な出題だ。

【選択肢考察】
a グロボトリアオシルセラミドが蓄積することで、心肥大を生じる。
b 文字通り、心筋肥大を生じる。
c 誤り。心尖部の収縮不全と心基部の過剰収縮をみるも、心肥大はない。
d アミロイドが蓄積することで、心肥大を生じる。
e 慢性的な後負荷により心肥大を生じる。

正答率:72%

テーマ:左心室壁肥厚から鑑別すべき疾患

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