115D17

76歳の男性。血痰と腰痛を主訴に来院した。1か月前から腰痛が出現し次第に増強し、3日前から喀痰に血液が混じるため受診した。喫煙は74歳まで20本/日を54年間。意識は清明。身長165cm、体重56kg。体温36.2℃。脈拍76/分、整。血圧140/76mmHg。呼吸数16/分。SpO2 97%(room air)。食欲は良好。血液所見:赤血球420万、Hb 12.8g/dL、Ht 40%、白血球8,600、血小板42万。血液生化学所見:総蛋白6.2g/dL、アルブミン3.6g/dL、総ビリルビン0.7mg/dL、AST 25U/L、ALT 19U/L、LD 343U/L(基準120~245)、尿素窒素20mg/dL、クレアチニン0.7mg/dL。胸部単純エックス線写真で右下肺野に5cm大の腫瘤を認める。全身の造影CTと気管支鏡下生検により腰椎転移を伴う進行肺扁平上皮癌と診断され薬物による抗癌治療の開始を検討中である。

現時点で行うべき疼痛対策として適切でないのはどれか。

NSAID経口投与
塩酸モルヒネ皮下投与
骨転移への放射線照射
アセトアミノフェン経口投与
ビスホスホネート製剤静脈投与

解答: b

115D17の解説

【プロセス】
①高齢男性
②血痰と腰痛
③長年にわたる喫煙歴
④腰椎転移を伴う進行肺扁平上皮癌と診断された
⑤薬物による抗癌治療の開始を検討中
☞終末期医療の理解が問われている。

【選択肢考察】
a 非オピオイド薬であり、疼痛緩和の第一手として有効。
b 誤り。NSAIDも開始していない段階でいきなり強オピオイドであるモルヒネを投与開始することはない。また、本患者は経口摂取が可能と思われるため、皮下投与を選択するのも不適切。
c 疼痛緩和目的の放射線照射も有効。
d 非オピオイド薬であり、疼痛緩和の第一手として有効。
e 骨吸収抑制薬であり、骨転移による疼痛の緩和や、骨破壊による高カルシウム血症の予防に有効。

正答率:90%

テーマ:進行肺扁平上皮癌の緩和ケアで行う疼痛対策

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