115D16

28歳の女性(1妊0産)。妊娠36週2日、けいれん発作のため救急搬送された。これまでの妊娠経過に異常は認めなかったが、2日前の妊婦健康診査の際に血圧142/84mmHgと高血圧を初めて指摘された。その他の異常を認めなかったため、4日後の来院を指示されていた。家族によると、今朝、突然意識を失った後に全身のけいれんが起こったという。搬入時の意識レベルはJCS I-2。けいれんは治まっていた。体温37.2℃。心拍数82/分。血圧164/96mmHg。呼吸数20/分。SpO2 96%(マスク5L/分酸素投与下)。頭部MRIのT2強調像(A)及び拡散強調像(B)とを別に示す。

この患者の脳にみられる病態はどれか。

梗塞
出血
腫瘍
脱髄
浮腫

解答: e

115D16の解説

【プロセス】
①妊娠36週の妊婦
②妊娠中の高血圧を指摘された
③突然意識を失った後に全身のけいれん
④MRIではT2強調像〈T2WI〉にて側脳室周囲の高信号域と後頭葉の高信号域
⑤MRIの拡散強調像〈DWI〉では後頭葉に低信号域がみられる
①②③より子癇と考えられる。④⑤から可逆性白質脳症〈RPLS〉を伴っていることもわかる。RPLSでは大脳内の血管透過性亢進により特に後頭葉を中心とした浮腫が出現しやすい。

【選択肢考察】
a 梗塞巣はDWIで高信号域を呈する。
b 出血の判断はMRIでは困難である。また、本症例の画像で提示されているような、後頭葉での対称性な脳出血は稀。
c 腫瘍性病変は指摘不能。
d T2WIでみられる側脳室周囲の高信号部分は多発性硬化症〈MS〉などでみられる脱髄巣に類似しているも、後頭葉病変が脱髄としては非定型的。
e 正しい。後頭葉の血管透過性亢進により生じた脳浮腫である。

正答率:93%

テーマ:子癇に伴う可逆性白質脳症〈RPLS〉でみられる病態

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